湯沢の住宅 〜土間と廻り廊下の空気層〜

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    吉田誠
  • 設計
    納谷建築設計事務所 / 納谷学
  • 担当者
    納谷学
  • 施工
    佐久組 / 佐藤隆志
  • 構造設計
    かい構造設計 / 寺門規男

秋田の湯沢は、雪深いところです。毎年2m程の雪が積もります。 そんな気候の民家は、リノベーションする前は、土間や廊下で内側の部屋を守り、冬の寒さをしのぐ工夫が施されていました。 その昔ながらの土間や廊下を住宅全体にロの字型に回し、空気層で居室を囲い込み、寒さ対策をすることにしました。 プランは、親戚が集まり土間から直接入れる仏間を中心に、子世帯と親世帯に分けました。仏間の裏側には共有する水周りを配し、二世帯を緩やかに繋ぎ、分けています。 リノベーションにあたって、基礎を造り直し、傷んでいた土台や柱を交換したり補修をしました。 また全体に断熱を施し、築150年以上の古民家は、また次の100年を迎えることができるでしょう。 『日本建築大賞』のTEXTより抜粋 秋田県の県南地方。奥羽山脈の足元、山深い湯沢市郊外では、冬の積雪が2mを超え4月までも雪が残る。 その山間を走る街道沿いに建つ築150年以上と言われる民家のリノベーションである。 街道は民家の東側、北側と西側の裏庭には、クライアントのりんご畑が広がっている。 この雪深い湯沢で、本来この民家がもっている空間の本質を読み取り、厳しい冬を快適に生活するため、親子2世帯のための暖かい住宅を提案したい。 既存の住宅は、全国どこにでもあった古典的な日本の民家であるが、長年の間に何度か手を加えていて、民家が本来持っている空間のフレキシビリティーが消えつつあった。例えば、南側の建具の壊れた土間、東側に使われなくなった縁側、北側に閉じられた廊下といった具合に、民家の特徴的な空間がちぎれて断片的になっていた。 われわれは、それらのちぎれた土間や縁側、廊下をもう一度連続させて、この住宅の四方すべてに空間をまわし、内部空間をすっぽりと囲いこんだ。つまり住宅の断熱性能を外壁一枚の断熱性能や設備機器に頼るのではなく、外部と内部の境界に中間的な空間(室内の外周寄り)を設けることで、ドーナッツ状の空気層をこの住宅の断熱層としてとらえた。このプランの二重化と建具の開閉によって、夏と冬の気候に生活を対応させ、厳しい冬の生活を解決できないかと考えたのだ。 内側と外側の関係は、障子や建具などの可動の境界によって光や風を通したり、使い勝手や季節、使用する時間によって自在に使い分けられる境界として機能させている。そして、内側だけで動線を完結することで、住む人の行動に負担をかけないように考慮した。 親世帯と子世帯は、共有スペースとしての仏間と洗面・浴室によって分節させている。仏間は、補修程度でほとんど手を加えず、洗面・浴室は領せたいから使えるように動線を確保した。これらの空間を2世帯の間に挟み込むことで、親子といえども世帯間に適当な距離感を生み出すことに成功している。 また親世帯では、改修の繰り返しのなかで天井に隠れていた太く立派な梁を見せるため、天井を上げて露出させ、子世帯では、むかし蚕部屋として使われていた小屋裏を個室に変換した。 天井裏のスペースは、時間の流れやいろりのすすで真っ黒に変化した柱や梁に囲われていて、築150年以上という何世代も受け継がれてきた時間を感じさせてくれる。それらをもう一度現代の生活の中に引き戻した。われわれが新たに補修したり付け加えた柱も既存の構造体と共にこれからの長い年月を超えていけばと思う。 受賞歴 : 2007 第21回秋田住宅コンクール 佳作      2008 第2回JIA東北住宅大賞 大賞 掲載誌 :『Casa BRUTUS 2007.02号』      『Replan Vol.20』

物件所在地

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