瑞穂の家

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    野村亮介
  • 設計
    野村亮介建築設計事務所
  • 担当者
    野村亮介

本計画地は、岐阜県瑞穂市牛牧に位置する。田園、住宅、商業、工場といった多様な土地利用が混在する地域であり、近年の人口流入に伴って宅地化が進み、今後も様々な用途の建築が点在する風景が形成されていくことが予想される。 当敷地も交通の便から牛牧地方に住む事を決め、田んぼであった土地を購入し造成してから住宅の計画が始まった。 この不確かな周囲の環境に対して、内向性を持つ空間と周囲との距離を図る物質性を手掛かりに住まいとしての在り方を構想した。内向性を保持するために、住まいの用途ごとに割り出した空間を一度単独化し、それらを繋ぎ合わせるように孔を開け接続し再び一つの住空間として束ねていく操作を行った。また、空間を一度単独化させる事で、1つの空間としての完結性や外部の環境に左右されない内向性が生まれると考えた。それは単に物理的な内向性だけではなく、単独としての空間の連なりが幾重にも展開され、外部との距離を図る心理的な内向性をも獲得できるのではないかと期待した。 また空間同士の接続の際に、やや分厚い垂れ壁を設けたり、懐のある孔を設けたり、接続点をなだらかにする半円を用いたりと、分節と接続を物質をもってコントロールして他空間との距離を測るようにした。と同時に、それらはこの不確かな外部環境との距離に対しての均整を保つのに必要だと感じた。 また、物質としての輪郭を強調させるために内外装材は抽象度が高い素材を選定し極力無駄な線は削ぎ落としていった。さらに、この建築の大きな特徴的な要素である「半円」は1つの空間言語=コードとしてニッチの面台、引き手の金物、家具、建具といったディテールに至るまで展開している。このような反復と変奏を空間の中で体感することで、訪れる人々や住まい手にとって、この住まいの奥行きと深度を感じてもらえることを願っている。

7