nLDKX

ビルディングタイプ
共同住宅・集合住宅・寮
13
965
日本 東京都

補足資料

コンセプトドローイング
コンセプトイメージ
平面図
図面
長手断面図
図面
短手断面図
図面

DATA

CREDIT

  • 撮影
    楠瀬友将
  • 設計
    ULTRA STUDIO
  • 担当者
    笹田侑志 / 向山裕二 / 上野有里紗
  • 施工
    ウェルカムトゥドゥ

nLDKと呼ばれる、日本の住宅不動産市場で広く浸透している用語がある。nが寝室数、Lがリビング、Dがダイニング、Kがキッチンを表す。例えば、寝室が2部屋の物件であれば、2LDKという表記になる。一般的に人々は、自分の家族構成や収入に見合ったnの数を考えて部屋を探すため、不動産のマーケット情報にとってnLDKの表記は非常に重要になる。例えば子どもが1人いる夫婦の場合、n≧2の間取りを探していることが多いだろう。そうすると、販売側は子連れ家族が多い地域では最低でも2LDKが必要だと考える。このnLDKは戦後の住宅供給の歴史の中で生まれてきたタイポロジーだが、近年ではその硬直性が批判されてもいる。 さらに、買取再販と呼ばれる、このような標準化された住宅を買い取り、改修によって付加価値を付けて再販売する事業がある。このプロジェクトも買取再販のための改修の依頼だった。この場合、住人の個性を根拠に設計することはできない。一方で、単に一般的なニーズに応えるだけではなく、他の物件と差別化して市場で「目立つ」必要もある。不動産検索サイトでのアクセス数も重視されるため、nLDKというゾーニングに従う必要がある。なぜなら人々はnLDKのnに数字を代入して不動産を検索するからだ。つまり、凡庸な間取りを守りながら、一般的な空間と異なる状態をつくり出すための形式を探す必要があった。 まず、もともとの3LDKから窓のない和室を取り除き、LDKを楕円状に膨らませる。玄関を広げ、廊下をLDKに向けて窄め、空間が実際より広く感じられる錯視効果をつくる。LDKには、白い箱型のキッチン、空間を分ける楔形の棚、配管を隠す八角形の柱といったキャラクターが登場し、場所に個性を与えている。こうして、2LDKの形式を保ちながらも、楕円に楔が穿たれたような視覚的強さをもった平面計画が生まれた。楔形の棚は廊下の延長形であると同時に、キャスターで移動できる。住人は棚を動かして各々にふさわしい楕円の分割をつくり出すことができ、現代において仕事場やアトリエなど、従来とは異なる活動を含む場所になったLDKの使われ方に対応する。 この住宅には廊下、個室、そしてLDKがある。その一般的な間取りに差異を与えているのは楕円状に膨らんだ空間や楔形の廊下とジェネリックな空間との相互作用である。玄関扉を開くとマンションの共用部と切り離された空間が広がる。床と壁は赤い合板で仕上げられ、廊下の両側の扉を開けば白く明るい個室が現れる。LDKに入ると正面の鏡で背後の玄関が見え、楕円の壁に誘導されて視線は外へと抜けていく。市場原理を拡大解釈すること=nLDKの形式を守ることが、逆説的にこれまでとは異なるnLDKを生み出した。

物件所在地

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