シェアテーブルのオフィス

ビルディングタイプ
オフィスインテリア

補足資料

コンセプトドローイング
コンセプトイメージ
平面図
図面

DATA

CREDIT

  • 撮影
    楠瀬友将
  • 設計
    ULTRA STUDIO
  • 担当者
    笹田侑志 / 向山裕二 / 上野有里紗 / 山根寛盟
  • 施工
    SET UP

「形態は機能に従う」とは聞き飽きたアフォリズムだ。だが、形態や空間を機能に奉仕させるのではなく、問いを与えるために用いることは可能だろうか。つまり、答えではなく問いで人を導くようなことが。もしそうであるならば、それは設計者本人にとっても説明しがたい存在として現れるはずだ。 赤坂御用地の緑に面して建つ雑居ビルの4階に入居する、4者によるシェアオフィスの設計をすることになった。フロアの面積は非常に狭く、空間を文字通り「シェア」することで複数の機能を共存させ、限られた面積を最大限利用する必要があった。建物の平面形状は少し歪んだ直角二等辺三角形をしており、その鋭角部分が階段室やバルコニーに充てられることで、残された部屋は更にいびつな形になっている。一方で、三角形の長辺側が緑地に面しており、そこに設けられた水平連続窓からは豊かな緑を臨むことができる。 天井にはもともとRC梁が架かっており、視覚的に部屋を窓側と入口側に分けていた。そこで、それに直交した偽の梁を一本追加することで、緩やかに分けられた4つのゾーンを定義した。そしてその下に、1辺3mの正方形平面を配置した。この机は、利用者がシェアしつつも反対側が十分に離れていることで、利用者どうしで快適な距離を保つことができる。 一方で、梁の交点と机の中心はわずかにずれており、我々はその2点を偽の柱で結ぶことにした。柱は机上にあらたな分節を生み出すと同時に、空間に求心性を与えて再び統合もする。しかし、柱の役割は本質的には曖昧なままだ。事情を知らない人にとっては、実際の構造体に見えるかもしれない。しかし柱は奇妙な位置で微妙に傾き、妙な梁と接続していて偽物にも見える。この柱が与えているのは機能ではなく、問いなのだ。 唯一、凹凸のある鏡面磨きのステンレスだけが、空間を物理的に分けている。この歪んだミラーは水平連続窓を反射し、緑のパノラマが連続するイリュージョンを生み出す。と同時に、偽の柱や梁も反射して歪んだ虚像を生み出している。鏡で歪んだ柱は現実と違って垂直に見えることもある。偽物の虚像は本物だろうか?

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