土の峡谷 大阪万博 トイレ4

ビルディングタイプ
パビリオン・イベントブース

補足資料

外装パネル取付ダイアグラム
ダイアグラム
平面図
図面
断面図
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立面図
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立面図
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立面図
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DATA

CREDIT

  • 撮影
    大竹央祐 / 鈴木淳平 / 高澤卓 / 式場あすか / 浜田晶則建築設計事務所 AHA
  • 設計
    浜田晶則建築設計事務所 AHA
  • 担当者
    浜田晶則 / 田邉剛士 / 栗脇剛 / 井上悟郎 / 結城宗哉 / 高澤卓 / ホジェンズあいら
  • 施工
    株式会社カネトモ / 株式会社中塚工務所 / ポラテック株式会社 / 株式会社大三商行 / 浜田晶則建築設計事務所 AHA / 株式会社大林環境技術研究所
  • 構造設計
    株式会社構造計画研究所
  • 設備設計
    有限会社ZO設計室
  • 照明設計
    株式会社モデュレックス
  • 植栽設計
    株式会社大林環境技術研究所
  • 技術協力
    株式会社Lib Work
  • 協働
    WASP
  • 機器提供
    TOTO株式会社 / SANEI株式会社 / コンビウィズ株式会社
  • 材料相談
    日本ストローベイルハウス研究会
  • 素材協力
    有限会社東邦産業社 / 有限会社井上建設 / 宇部マテリアルズ株式会社 / 川原製作所 / のろしファーム
  • 協力
    松本雄太郎家具製作所 / 濱本重機工業

多くの建築や都市は水平垂直のエレメントで構成されている。しかし、自然界でみられるかたちは有機的で、それらで構成される環境とのインタラクションによって、生物は身体の感覚を頼りにして生きている。もし今人間が建築をつくるための新たな合理性を発見したとすると、それはどんな形になるだろうかと考えた。 例えば3Dプリンターなどのロボティクスによって、形の作り方が加算的になり、形の複雑性によるコスト要因が時間のみになったなら。そして本当に身体に必要な形を身の回りの素材をかき集めてつくる、現代の人間のための巣ができるとするならば、それは新しいバナキュラー建築になり得るのではないだろうか。 この建築は2025年に日本・大阪で開催される日本国際博覧会の休憩施設の一つである。会場内の20箇所の休憩施設(トイレ、休憩所、サテライトスタジオ、ポップアップステージ)をそれぞれ一つずつ、日本国内で選出された若手の建築家が設計を行った。 私たちは、土を出力することが可能なWASP社の建設用3Dプリンターを用いて、峡谷のような建築とランドスケープを計画した。身の回りの素材であり、プリミティブな素材である土を用いている。重く、弱く、現代の素材とはかけ離れて扱いづらい素材であるが、大地に還すことができる素材を用いて、新たな建築材料として利用する。それを通して、各地域の土地からとれる土を使った、現代の人間の巣のような未来の建築像と社会を提示したいと考えた。 プリント素材には土、粘土、硬化剤、藁、顔料、海藻糊を用いており、日本の伝統構法である土壁から学び材料を選定している。それらは強度やプリントのしやすさだけでなく、全て日本国内で入手できることや、会期後の解体時に全て自然に還せることを条件に選ばれている。硬化剤に採用した酸化マグネシウムは、水と土とを混ぜることで硬化反応を起こす物質であり、プリント後に3日間湿潤養生した後に乾燥させることで高い強度を発揮する。 ここで3Dプリントされた形状は、自然界に存在する有機的な曲線をベースとしており、日本全国で採取した石を3Dスキャンしてサンプリングした形状データを複数融合して作られている。さらに土が自立するための構造的な合理性を実験により算出し、オーバーハングの制約条件に基づき形態最適化を行い、最終的な形状を決定した。 下記の4箇所を3Dプリントで施工した。 ①外装パネル 建築の外装を富山の工場で生産し、敷地に運搬して取り付けた。幅930mm、奥行300〜400mm、高さ1200mmのプリントしたパネルを計56枚量産した。十分に乾燥した後は、トラックで博覧会の敷地に運び、クレーンで吊り上げ木造の外壁に取り付けた。パネルの表面の形状は全て異なり、一面に並べて繋げることで自然界の岩肌のような形状が浮かび上がる。躯体との取り付け部分には出力中に木材のピースをはめ込み、そこにスクリューを打ち込んで固定することで、土には一切傷がつかない方法を採用している。このサイズのパネルを3Dプリントし、輸送するために、プリント方法だけでなく移動方法や工事用クレーンでの吊り上げ方法、躯体への固定方法など、全ての施工手順を検討した。 ②ベンチプランター 3Dプリンターを博覧会の敷地に設置し、ベンチやテーブルなどの機能を併せ持った、人と植物のためのプランターを出力した。直径6.2m、高さ1.7mのプリント範囲を目一杯に使ったプリントを敷地内の4か所で行った。プランターの形状は来場者を取り囲むC型や複数の群島型など様々であり、様々な居方を許容する休憩の場となることを意図した。 ③土ブロック 敷地でプリントするものだけでなく、小さなブロックで作るタイプのプランターも計画した。富山の工場で、形状のそれぞれ異なるブロックを45個プリントし、敷地で人の手で積み上げた。酸化マグネシウムを主成分とする硬化剤でブロック内部を充填し、鉄筋のかわりとして竹を差し込みながら積み上げることで一体性を高めて補強した。 ④手洗い台 トイレを使用した人が使う手洗い台も工場でプリントし、博覧会の敷地まで運搬して取り付けた。正面の膝部分が窪んだ形状をし、背面にメンテナンス用の穴が空いた円筒の形状とした。 2025年の日本国際博覧会は、世界の最先端の技術や未来社会を提起する場であると同時に、大規模な実験のプラットフォームとしての意味合いも持つ。本プロジェクトを通して、土などの身のまわりの自然素材とロボティクスの技術によって実現する建築によって、人と自然と機械が共生する未来社会の一端を提示できればと考えている。 現在では一般コンクリートと同等の材料強度に達している。実際の施工では、工場でのプレファブリケーション(外装パネル等)と敷地でのオンサイトプリンティング(ベンチプランター)を併用し、既存の建設システムとの接続も検証した。今後は構造材としての実用化に向けた大臣認定と法改正を目指し、地産地消の建築を社会実装しようとしている。

物件所在地

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