
補足資料




PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- その他オフィス・企業施設
- 構造
- 木造
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 313.09㎡
- 竣工
- 2025-03
CREDIT
- 撮影
- 設計+制作/建築巧房
- 設計
- 設計+制作/建築巧房 高木正三郎
- 担当者
- 米満光平
- 施工
- 山下建設株式会社
- 構造設計
- Atelier742 / 高嶋謙一郎
県内の蔵元60社以上で運営される、組合の活動拠点となる事務所です。 50名弱が収容できる会議室をメインの空間としながら、会長室、試験室、小打ち合わせ室、事務室、ロビー空間からなり、 建物全体の形状は、2棟の双堂形式としました。これは、周辺の住宅ボリュームとの連続性といった、街並み〜外観からというよりも、内部空間の形を反映させたものです。2Fの平面は大きく階段〜廊下部と2執務室の二列が並列し、それぞれの内部空間に、独立した屋根=天井形状を与え、正面軒から落ちる雨量を最小にし、庇のタテヨコ樋を省略するための屋根分割を意匠と共に試みました。 外観 敷地は、幹線道路からは旗竿の形となっており、一度敷地に踏み込めば、近隣には2階建の事務所ビルや2F建のアパート、13建のマンションなどとボリュームも形式も多様な用途地域の境界上に発生している日本の現代都市の雑立風景です。そこに、日本酒や焼酎といった、日本の伝統的な酒造りを、共に未来に伝えようという蔵元が定期的に集結する場所=建築が挿入されることを念頭に置きました。 木の使い方については、昨今のコスト情勢から、2F建規模なら木造が最適となり、酒蔵建築のイメージを想起させる木材の外壁としました。実加工による現代的な外壁工法ではなく、端部加工なしの大和貼りは、多少なりとも、端部の腐敗には有利に働くであろうことや、全てビス止めをして、高さ方向にも重ね貼りをすることによって、将来的な部分張り替えのしやすさを考えました。 これらの材料には、杉の背板を用いています。背板は製材時に発生する丸太外周の端材で、通常、廃棄、もしくはチップ化されて製材所には利益が生まれにくい部分のことです。日本中の製材所で、背板は発生し続けていますが、八女の製材所のものは、大径木から切り出している*こともあり、まだまだ使える断面形状の背板が定期的に副産されていることや多いので、ここに値段をつけて所定の金額で買い取ります。材料代は格安であっても寸法が一定せず、三日月型の材料の加工に手間がかかる、このトレードにより、外壁材へとアップサイクルしました。 (*今日では、木造住宅レベルの柱材の需要により、小径木の方が単価が高いという。だからフローリング材を取るなら、大径木となる。) 背板は木材の生きた成長部分ということで、死滅した組織の赤身に比較して、吸放湿性能が高く室内には有効に働きます。また、白身の部分なので、(意匠上)色が白く、無節に近い材料となります。外壁に用いる場合は、水を吸いにくい赤身の方が耐久性が高いですが、そもそも、赤身部分だけをオーダーすることは流通上難しいので、耐久性については、もとより高性能の木材保護塗料(タウンガード)に委ねました。