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江戸川区の都市性と自然性、篠崎の歴史を受け継ぐコンパクトな立体校舎 2019年、平成31年から令和元年へと元号が切り替わるタイミングでの設計プロポーザルにて、私たちの提案が選定され、設計がスタートした。既存の体育館を使いながら敷地内で校舎を改築するという条件であり、校地にもそれほど余裕がないため、プールも含めて如何にコンパクトでありながら一体的、立体的に新たな学習空間を構成するかということが設計の課題となった。また、プロポーザル要項にも示された、学校別デザイン「学校に隣接する学校農園や周辺に位置する江戸川、篠崎公園や浅間神社との景観に調和した豊かな水と緑が感じられるデザインとする。」が篠崎という地域にある小学校としてのテーマとなっている。敷地北側には高速道路と京葉道路と高層マンションという都市的な表情がある一方で、周辺には緑地や畑、寺社もある歴史と自然に囲まれた環境に調和した、この地ならではの小学校建築を目指した。 篠小ひろばとオープンスペース/水と緑、農の風景に調和するレンガと木の外壁素材・外構 設計が進行する中でも当初のコンセプトを維持しながら、改築前から地域活動の中心となっていた校庭と正門につながり、学校の顔となる「篠小ひろば」に面する位置に学校図書館が配置されるなど諸室の配置と小学校機能、地域機能の連携について更なる検討が進んだ。ひろばには昇降口と大階段がつながり、特徴的な中央階段、内部のオープンスペースへの一体的な流れが生み出され、廊下でつながれるだけではない、子どもたちの様々な居場所と学習空間を設備も含めた総合的な環境計画により生み出している。東西の道路からよく見える外壁はコンクリートの躯体の外に断熱を施し、中空層を設けたレンガ積みとしており、レンガの色合いは周辺の緑、畑や住宅の町並みに馴染むように、土を焼くことで自然に現れる柔らかい赤みを中心とした配色としている。また、西門と正門をつなぐ登下校のアプローチでもある、グラウンドに面する1階外壁は多摩産スギ材として学校内外への新たな景観も生み出している。この春に外構工事まで含めた全体が完成し、その1年前から校舎は使い始められ、同時に開校140周年も迎えることになった。学年3,4クラスと児童数も多い小学校において、教室に接して配置されたひろば(オープンスペース)は学年ごと、クラスごと等様々な人数に応じて活用されており、コロナ禍を経て発展した、教室からのオンラインシステムとの併用により、以前は全児童が移動して体育館で行っていた朝礼などもここで行われるようになったそうだ。ひろばには可動のベンチと収納を兼ねた造作家具も配置している。これから、どのように使われていくのか設計者として楽しみにしている。(香山・石本・土屋設計共同企業体 土屋辰之助)

