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国立駅南口の新たな子育て・市民活動拠点 「国立駅南口子育ち・子育て応援テラス」は、株式会社ジェイアール東日本都市開発が計画している賃貸住宅棟の 1 階部分の一部に計画され、2022年春に国立駅南口子育て支援施設設計プロポーザルによって私たちのチームが選定された。南口駅前には旧国立駅舎が 2020年に復原再築され、現在はまちの案内所、アンテナショップ、イベントスペースとして生まれ変わっており、この再築に関わり当該賃貸住宅敷地を国立市とJR東日本で換地を行った経緯がある。当初、市は本敷地に子育て支援機能を含む複合施設を計画していたが、換地によって賃貸住宅が建設されることになり、子育て支援施設をインフィルとして計画し直したものである。 国立市民念願の再築/ロマネスクの駅舎 国立駅舎は大正15年(1926)に木造駅舎として創建され、そのアーチと三角屋根が永く市民に親しまれた駅前のシンボルであった。中央線高架化に伴い解体されるが、市民要望を受け、文化財指定を受けつつ部材を国立市が保存し、部材の再利用率70%を達成し再築されている。 ワンルーム空間と緩やかな分節/リニアな三層構成 700m2のワンルームであるスケルトン空間は、前面通りに合わせて東西での床高低差が 30cmある。提案としては、通りに沿って情報ストリートと称した、誰もが利用できる街の通りを引き込んだような動線にカウンターやアーチ型をした連続棚が配置され、子育てや街の情報を得ることができる空間とし、そこから子どもたちの様々な遊び場や絵本コーナー、一時預かり、大人や中高生のワークスペースがワンルームに配置される構成であり、最奥の列にはトイレ水回り、オムツ替え、相談室事務室など諸室を配置する、三層の構成となっている。 国立の建築進化論/素材と構造/アーチと三角屋根 駅舎の建築は少なからず、伊東忠太の一橋大学キャンパス計画に影響を与えたのだろうか、ロマネスクというモチーフが再び街のモチーフとなって還元されていくことでこの街が歩んだ時間を紡ぐことができないだろうか。伊東忠太の所謂、建築進化論によれば、木材から石材化してこなかった日本建築は特殊であり、伊東の言う通り近代以降に石材化を飛び越えてRC化したが、近年は再度木材化する現象が起きているといえる。今回インテリアとしてRCと鉄骨構造の中に入れ子状に置かれたアーチの木フレームは、実際に も小材同士が圧縮し合って自立しており、構造化されてもいる。また三角屋根は室の出入り口の家型として壁面に埋め込まれ、折れ天井へと分解して配置された。 (土屋辰之助)
