L’hirondelle

「人々が集い、地域と繋がながる旅の出発点」

 研究機関や大学が集積する国際都市・つくば市の街角に位置するスペシャリティコーヒーを取り扱うコーヒーショップのプロジェクト。
 コーヒーを楽しむ場にギャラリー機能を加えることで、地域内外の多様な人々が集い、展示や活動を通じて国境を越えたつながりを生み出す場として機能している。
 成長と変化を受け入れる余白をデザインし、コモニング拠点としての可能性を追求した。 入口の正面には、円弧状の壁に彫り込まれた商品棚を配置し、漆喰壁に映るやわらかな自然光の陰影がひとつのアートピースのように浮かび上がらせる。
 円弧壁に寄り添うように設けたコの字型カウンターは、客とスタッフの対話を自然に誘発し、中心性をつくり出す要素として機能する。 腰壁には錆びさせた鉄板を採用し、素材そのものが持つ豊かな質感と経年変化を空間の表情として取り込みつつ、一杯のコーヒーの体験が際立つよう、機器類の露出を極力抑え、視覚的なノイズを取り除いた構成とした。 木・鉄・革・漆喰といった自然素材を基調に、地方の作家との協業によるオリジナルプロダクトを点在させ、地域と店が共に育っていく関係性を空間に取り入れている。 時間の経過とともに素材が深みを増し、店の歩みとともに変化していく、時の流れを感じさせる豊かな風景を目指した。