TireCarFactory-T (高田タイヤ、ミスタータイヤマン高田店)

ビルディングタイプ
工場・倉庫

DATA

CREDIT

  • 撮影
    写真のみどり建築写真撮影事務所
  • 設計
    伊藤憲吾建築設計事務所
  • 担当者
    伊藤憲吾 / 高田明日香
  • 施工
    株式会社 佐々木建設
  • 構造設計
    K2構造設計株式会社
  • 協働設計
    原大地ケンチク設計室

自動車のタイヤ交換を行うための、店舗兼工場の計画である。 敷地は大分県豊後高田市。瀬戸内海を望む国東半島の西側に位置し、温暖な気候と、平安時代から続く六郷満山文化を背景に、多くの歴史的建造物が今もなお残る土地である。国宝・富貴寺大堂や熊野磨崖仏といった文化財に加え、近年は「昭和の町」としてノスタルジーを生かしたまちづくりも進められている。 本計画は、かつて田畑だった敷地に新たな建築を構えるプロジェクトである。敷地内には1996年に建立された石仏が一体あり、道を挟んで向かい合うようにもう一体が立っている。比較的新しい石仏ではあるが、市内の石仏マップにも掲載されており、この土地の風景の一部として親しまれている。私たちは、この石仏を撤去せずに活かすことから設計を始めた。 計画においては、普通車に加えて大型トラックのタイヤ交換も対応できるよう、車両の回転半径や作業動線に十分配慮したレイアウトとした。働く人がスムーズに動けるように、訪れる人が事故なく安心して利用できるように、そして石仏の存在が引き続き地域の風景としてあり続けられるように。複数の視点を融合させながら構成を検討した。 外観は、丸みを帯びた柔らかなフォルムとなった。それはコストと機能のバランスから導き出された形態である。屋根から外壁へラジアル工法と呼ばれる折板屋根の曲げ加工を採用した。工場建築においては一般的なこの工法は、パラペットや軒樋といった部材を省略でき、コストダウンにも寄与する。屋根材がそのまま外壁へと連続することで、空へと溶け込むような滑らかなシルエットが生まれた。 建物の規模から見れば木造での建築も可能であったが、大型車両が出入りすることを想定し、接触などの不測の事態にも耐えうる強度を目指して鉄骨造を採用した。一方、車の入らない店舗スペースの内部空間は木造とし、鉄骨躯体の中に木造躯体が内包される入れ子構造とした。この構成は意匠的にも独自性を生み出している。また、鉄のリサイクル性と木材の環境配慮性という両素材の特徴を活かし、これからの建築の在り方を模索した。 施主からの要望は、「使いやすい動線」と「油汚れに強いこと」の二点のみであった。その他のデザインについては、すべて私たち設計者に委ねてくださった。その信頼に応えるべく、本計画のデザインポリシーを 「Minimal & Efficient」 と定めた。工場建築においては、無駄をそぎ落とし、必要な機能を的確にかたちにすることが、美しさにもつながると考えている。結果として、その合理性の中にどこかチャーミングな表情も併せ持った建築となった。 施主の朗らかな接客姿勢とともに、この建築が地域の人々に愛され、長く親しまれる存在となることを心より願っている。

物件所在地

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