gelateria SaLto NEXTEP 就労支援事業所

ビルディングタイプ
カフェ

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Sophie Korini Inada
  • 設計
    阿部悠子設計アトリエ
  • 担当者
    阿部悠子
  • 施工
    エバーフィールド
  • 構造設計
    建築食堂 / 白橋祐二
  • ロゴデザイン
    フフplan / 中村安那
  • 外構設計
    鳥山早穂

熊本県合志市の市街化調整区域に、認定NPO法人NEXTEPの新たな拠点として計画した就労支援施設「gelateria SaLto」。社会との接点を持ちづらい子どもたちが、日常から一歩踏み出すきっかけとなることを目指した計画である。 SaLto(サルト)は、イタリア語で「跳ぶこと」「飛躍」を意味する。施設は1階を店舗、2階を製造室と事務スペースとし、利用者が地域と関わりながら働くことができる環境を整えた。 1階店舗は連続する地窓から柔らかな光を取り込み、視線をコントロールして適度なこもり感を確保した。周囲との距離を自然に保ちながら、安心して過ごせる空間としている。無農薬米の米粉や提携農家の野菜を活かして作られる自然派ジェラートに呼応するように、内装はブラウンやベージュのアースカラーを基調に、丸みを持たせた設えを取り入れ、親しみやすく柔らかな印象を与えた。 2階は北側のハイサイドライトから安定した自然光を取り入れ、日中は照明を必要としない明るさを確保した。製造や事務作業に集中できる、静かで落ち着いた環境としている。 建物は前面道路に沿った細長い敷地形状を活かし、大きく張り出した軒や杉板張りの外壁により、開発の進む郊外のロードサイドにおいても温もりと存在感のある佇まいをつくった。外部と内部の木材を視覚的に連続させ、素材の質感を直接感じられる構成とした。 道路側にはレモン、イチジク、ブルーベリー、キンカンなど実のなる樹木を植え、季節の移ろいや収穫の喜びを感じられる開かれた庭を計画した。ここは店舗であると同時に、社会とつながるための静かな“跳躍台”として、人とまちをやわらかにつなぐ場となっている。

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