
PROJECT MEMBER
地盤に高低差があり、間口も細く、区画も曖昧な調整区域の土地が石川県金沢市の端に残っていた。 万人受けしない、誰もやりたがらなさそうな土地がなんだかとてもステキに感じクライアントと前向きに考えることにした。 「カーテンレスの大きな窓を設けたい」というリクエストにドンピシャの土地だったからである。 計画地は金沢の景観条例地域であることから勾配屋根と板張りの外壁がすぐに頭に浮かんだ。 風致地区ということもあり隣地との離隔距離も必要で建物の幅はさらに細くなっていった。 プラン検討しながら頭の中にあるのは敷地の奥に見える景色と元々植えてあった木々のこと。 四季を楽しめる美しい景色に向かうトンネル状の構造へとペンが誘導されていった。 土地に出会って4~5日の出来事である。 それから土地購入へと動き出した。 建物の形状はイエ型。建物中央に斜めの壁が入っているのは景色に向かって視界が広がっていくようにしたかったためである。 間取りは道路側に玄関と書斎、奥へ進むにつれてプライベートな空間へと続く。 二階のような屋根裏のような広いフリー空間が上に存在する。 間取りはすべて景色のため。 大きな窓があるだけ。それだけでよかった。 この建築を語るうえで大事なのはやはり施工者の存在であろう。 細かな施工者泣かせのディティールを「気合です!」の一言ですべて作り上げてくれたのは本当に頼もしかった。 建築から迫力を感じていただけたのであればそれは繊細な現場監督と気合十分の棟梁のおかげである。
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