




補足資料

藤う那は、福岡市天神の西鉄グランドホテル1階に構える飲食店である。 クライアントは、この場所を同名店の2店舗目でありながら本店となる格を備えた店にすることを望み、格式と高級感を備えた空間づくりを私たちに託した。 通りに面した小さな間口から奥へと広がる不整形な平面において、動線を考慮しながら厨房の位置を定め、テーブル席、個室、小上がりの座敷席を組み合わせ、多様なシーンに対応できる機能的なレイアウトを計画した。 仕上げには、壁に聚楽、床にナラ材のフローリングを採用。伝統素材がもたらす温かみと上質さを空間に取り込み、照明は間接光を中心に構成した。格子越しにこぼれる柔らかな光が店内を包み込み、落ち着きのある雰囲気を演出している。 さらに、このテナントの特徴として、ホテルロビー側に多角形に張り出した大きな8枚のガラス開口部が挙げられる。この印象的な構成は、人々の視線を集めやすい立地の利点がある一方、食事空間に必要な静けさを損ねる要因ともなり得た。 そこでガラス面を含む店内全体を繊細な縦格子で緻密に仕切ることとした。繊細な奥行きのある縦格子は、ロビーに向けて上質な空気感をにじませつつ、角度によっては美しい装飾壁のように機能する。歩くたびに「見える/見えない」が移り変わる縦格子の効果は、ロビーから中への興味を誘い、さらに店内でも次に現れる空間や案内される席への期待感をより一層高めてくれる。

