




長らく地域のシンボルとして親しまれてきた「大阪三菱ビルディング」(1969年竣工)。その建て替えに際し、ビジネスと交通の中心である御堂筋と、文化と行政の中心である堂島川が交差する象徴的な立地を最大限に活かし、ビジネス×観光×ローカル、行政×民間の交流促進をテーマに大規模複合施設を計画しました。 低層部に高機能オフィス、高層部に国際級スペックのホテル、中間階には市の広報や企業催事に応える観光施設・展望テラスを配置しています。特に注目すべきは、この展望テラスが「真のパブリック空間」としての価値を持つことです。誰もが利用できるこのスペースは、オフィスワーカーや観光客だけでなく、地域の人々にとっても重要なサードプレイスとなります。 アフターコロナの時代において、外部空間の価値が再認識される一方で、無料展望施設の閉鎖や超高層ビルの展望施設の有料化が進む中、本計画は誰もが自由に利用できるパブリックスペースとして、御堂筋沿いの都市景観や堂島川のリバービュー、京セラドーム・大阪城など、地域に親しまれてきた名所を一望できる新たな視点場を提供しています。これにより、高密度に集積された都市の中で一息つける新たなオアシスとなっています。 またスカイヨガや座禅体験など、この場所を最大限楽しめる屋内外のイベントスペースでもあり、ビル全体が「大阪の魅力を最前列で体感できる劇場のような場所」として機能し、地域の活性化と交流の場としての役割を果たしています。 さらに、隣接する堂島公園と観光船着場の一体的整備も行われ、「水都・大阪」の象徴性を高めるとともに、水上インフラによる観光輸送・観光資源の強化、エリアの防災力強化にも貢献しています。 コンセプトは「水都の賑わいをむすぶ」。 御堂筋の御影石の文化と堂島川沿いのレンガの文化を掛け合わせて石の風合いが感じられる「白いレンガ」を製作し、低層部の内外装仕上げや中間階のテラス外壁まで統一しました。石×レンガ調のシークエンスを連続させ、都市景観とのつながりや利用者の空間体験の連続性を創出し街中を歩いている高揚感を演出しています。またアクセントウォールのレンガ積みは、水面のきらめきと歴史性を象徴するデザインです。 エレベーターホールは片面をミラーガラスとし、もう片方を金属パネルとすることで、素材を反射させて、コンパクトな平面ながらも広がりを感じられる空間としています。外の景色や堂島公園の緑を引き込むことでも「都市を引き込む」作法を重ねています。内装は「うつろい」をテーマに、ホールランタンを壁面に内蔵させ、光の明滅により着床を知らせることで必要最小限の要素に絞るとともに、オフィスサインのグラデ―ショナルな仕上げによりテナントの個性とデザインの一貫性を両立しています。

