
京都の町屋のリノベーション物件の実施設計を手掛けました。 京絞りブランドBUNZABURO/KATAYAMAを持つ片山文三郎商店です。 烏丸で京鹿の子絞り専門の呉服製造業として大正4年に創業した片山文三郎商店は 今年で創業110年・築90年を迎えます。今回の工事は店舗部分の改装と、築90年になる本店町屋の建築改修も同時に進めた案件となります。 建築自体は竣工当時より贅を尽くした非常に上質な町屋建築で現在までとても良好な保存状態であったため、町屋建築の壁面・天井や欄間、建具などの主要素を可能な限り残し、新しい店舗のデザインは既存のしつらえと馴染むよう次の100年に繋がる意匠を目指したものです。 90年前から残る押入れと檜を使った同意匠の新規押入れを並列した棚、これも既存の引戸を型取りした和紙を貼った壁面、町屋建築の基壇部の無垢御影石を背面に使用した白モルタルの棚、漆を吹き付けたHGラックやグレーモルタルをガラスで封印したカウンターなど新しい意匠の中にも古来に通じる素材を使い、過去と現在をシームレスに橋渡しできるデザインを心掛けました。