




大阪に本社を構える不動産会社の新オフィスである。現在17名のスタッフ数から、数年をかけて約30名規模へと拡大していくことを見据えた移転計画であった。 移転前のオフィスでは全員が固定席で執務を行っていたが、営業部門の社員は外出が多く固定席の稼働率が低かった。また、オフィス内で昼食をとる、休憩する、子供を連れてくる、社内のカジュアルなミーティングを行うといった執務以外のための空間の必要性があがっていた。そのため本計画では、単なる執務機能にとどまらない、多様な過ごし方を受け入れる豊かな空間が求められた。 計画地は中之島フェスティバルタワーの18階、南東角に位置する約300㎡の区画である。 南東向きに開けた眺望、外壁のR形状、そして午前中から昼過ぎにかけて柔らかく移ろう日差し。この区画が持つ特徴を最大限に生かしたオフィスをつくれないかと考えた。 平面計画は、外壁のR形状をオフセットするように円弧状に広がる構成とした。円弧の中心から、来客用のラウンジ、個人デスク、ハイカウンター席と対面テーブル席、ソファや小上がりが連続する窓際と、放射状の層を描くように執務エリアをゾーニングし、その両側には来客用の会議室エリアと従業員用のバックオフィスエリアを配置した。 執務エリアには、固定席としてスタッフの増加に柔軟に対応できる仕切り板のないシームレスな円弧状のデスクを設けた。さらに、スタンディングカウンタ―、ハイカウンター席、対面テーブル席など、多種多様な執務場所を配置し、それぞれのワークスタイルに合わせて執務場所を選べるようにしている。 窓際には、複数人でも使用できるオープンソファ、仕切り壁のある集中ソファ、靴を脱いでくつろげる小上がりを設けたリラックススペースの性質の異なる3種の空間を設け、働き方や休み方をスタッフ自ら選んで過ごすことができる空間とした。列柱のように連なる柱型には、3種類の空間のカラースキームに対応した柔らかなグラデーション塗装を施し、性質の異なる空間同士に緩やかな繋がりを生みだしている。 多種多様な居場所をつくりながら、円弧状の構成がそれぞれの場所をシームレスにまとめ、ひとつの風景をつくる。円弧に沿って広がるレイヤー状のゾーニングが、空間を緩く分節しながら多様なパターンの場所を生み出す。注ぐ光が円弧に沿うようにゆっくりと移ろい、時間の変化を感じさせる。 この区画の持つ特徴であったR形状の外壁や光の移ろいを最大限に生かしながら、スタッフが自由に働き、休むことができる伸びやかなオフィスを目指した。
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