高台のコバコ

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    橘薫
  • 設計
    サカキアトリエ
  • 担当者
    戸川賢木

農地から宅地に変換されつつある環境をもつ高台に建つこの住宅は、個々の豊かな時間を紡ぎながら、緩やかに繋がり合う、住まい手の共同体的あり方を模索している。住まい手はご夫婦と成人した娘の3名。それぞれのライフスタイルを尊重し独立した個としながら、互いの存在の距離感をフレキシブルに操作できる住まいを目指した。本計画の軸は以下の3点である。 「個々人の距離感」「高台という眺望」「空間の開放性」 一方で本計画は既存住宅の建て替え計画である。建て替えにあたり施主からの命題は、意匠もさることながら収納量の確保が挙げられた。既存住宅より増量された収納スペースの確保となると床面積を増やさざるを得ない。しかしながら、100㎡の敷地に駐車計画、アプローチ、庭木スペース等のロジックを組み合わせると建築可能範囲は既存住宅とさして変わらなくなる。3階建ての案にしても道路斜線の問題が出てくる。そこでスキップフロアを活用した天井高を抑えた収納階をつくる案で計画を進める事とした。この案は結果として「高台という眺望を生かした計画」に新たな眺望のリズムを与え、個々人の生活に程よい距離をつくり、吹抜や空間の連続性を持つ「空間の開放性」に寄与するデザインとなった。スキップフロアによって繋がる各室は、建物中心に据えた階段のコアに接続されており、これが個々人の距離感を象徴した意匠になっている様にも感じられる。また、階段より一番下層の1階は、パブリック性をより強くもたせた「内なる外」を連想させる意匠とする事で、家庭内におけるコミュニティの場所性を強調した。多様な内部に反して外観は高台の地形にそっと置かれたようなシンプルな箱型とし、環境にニュートラルに存在させている。ミニマルなこの箱が、周囲の景観に溶け込みつつ、光と風を紡ぎ、開放性や眺望を享受しながら、個々人の距離感の多様性を楽しむ器となる事を願っている。

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