
補足資料

PROJECT MEMBER
大阪・南堀江に建つ共同住宅1階の改修計画。建築設計事務所KURUが企画・設計・運営を一貫して行った自社プロジェクトである。 計画地は自社事務所に隣接する2区画で、これまで事務所や倉庫等のテナントが入れ替わり続けていたが、同時に空き物件となった機を捉えてプロジェクトが始まった。企画から運営までを行う設計事務所として、協業者との関わりしろを生み出すこと、地域住民も日常的に触れられる場であること、さらに運営をする上で収支が成立することを前提とし、用途を「店舗・シェアオフィス・ギャラリー」の3つに設定した。 店舗では多様な商品が並び、ギャラリーでは様々な展示が行われる。シェアオフィスには建築やグラフィックなど異分野のクリエイターが集う。このような複合的で様々なものが混ざり合う姿に馴染むのは、一つのシンボルを持つ空間ではなく、分散的で多焦点的な空間であると考えた。そして、既存の空間を眺めると、雑多な空間に整然と並ぶコンクリートブロック、既存壁を撤去して生まれた奥行感、かつて木材問屋で栄えた土地の記憶など、スケールを横断した多くの要素が点在している。 これらの既存の要素を再解釈しながら空間に散りばめるように配置することで、既存の要素が重なり合う風景のような空間を目指した。 店舗とオフィスは賑わいを共有できるように同じ区画にまとめ、ギャラリーは単独の使用を想定して別区画にゾーニングした。街の歴史から着想を得た合板を積層させた什器や、既存躯体を引き立てる鉄板の陳列棚など、既存の空間から得た要素を場の用途と掛け合わせながら空間に散りばめることで、この空間の表情をつくりだしている。 設計事務所は、デザイナーや職人、クライアントや地域など、プロジェクトを進める中で多くの関係者と関わることが多い。設計事務所が自ら企画・設計を行い運営する場を持つことで、これらの間に新たな関係性を生み出し、多様な活動が緩やかに繋がっていくきっかけの場となることを目指している。