
PROJECT MEMBER
今回の敷地は、間口約18mで南向き。広がりある立地に対し、オーナー様が目指したのは「外へ開きすぎず、暮らしの中心をやさしく包み込むような住まい」でした。 敷地南側にはT字路があり、日照を確保しやすい。プライバシーを考慮しつつ南からの光を最大限に取り込めるよう2階上部に窓をたっぷり配置。吹き抜けやスケルトン階段を介して1階LDKへ陽の光を届けます。1階に非常に多くの太陽熱が室内に入り込み、冬場でもオーバーヒートしてしまう可能性があるので外部ブラインドによる日射遮蔽の計画も同時に考えました。 外観は、どっしりと水平ラインを意識したデザイン。通りに面した塀の隙間からは、中庭の植栽がそっと顔を覗かせ、街との関係性にほどよい距離感を生むデザインとなっています。 玄関に入ると、視線は中庭の緑を切り取る窓とソファへ。さらに、ご主人こだわりのためのギャラリースペースや土間収納、裏のご実家との直結動線も備え、趣味と暮らしの動線が心地よく交わる空間構成が特徴です。 リビングは、天井高のある吹き抜けによって縦方向の開放感を確保。大きな開口部や高窓から自然光が降り注ぎ、時間帯によって光の表情が変化します。北側にはウィンドウベンチを設け、外の植栽を眺めながらくつろげる“セミアウトドア的居場所”を演出。壁面収納の中にはピアノが収まるスペースもあり、暮らしの機能とデザインが美しく調和しています。 街とやわらかにつながりながらも、“生活の殻”を閉じて内なる落ち着きを守る「殻の家」。 タイコーならではのパッシブデザイン住宅がまたひとつここに完成しました。
