東sui京

ビルディングタイプ
ホテル
10
440
日本 東京都

補足資料

1階平面図
図面
2階平面図
図面

DATA

CREDIT

  • 撮影
    千葉正人
  • 設計
    勝亦丸山建築計画
  • 担当者
    丸山裕貴 / 勝亦優祐
  • 施工
    ジャムス
  • 植栽
    ユニバーサル園芸者
  • 左官
    大橋左官
  • グラフィックデザイン
    ROWBOAT
  • 事業主
    キーマン
  • 運営
    カソク

〈東sui京〉は、住宅の記憶を宿したまま非日常を感じられる、1棟貸しの小さなホテルである。東京北部の田端駅から程近い、静かな住宅地に位置し、武蔵野台地の緩やかな高低差のある場所に建っている。 田端は、明治期以降、芸術家や文士たちが暮らしていた町として知られている。上野に東京美術学校が開校されると、若い芸術家たちの流れが田端へと広がり、交流の場が生まれ、次第に芸術家村としての性格を帯びていった。大正期に入ると、多くの文士がこの地に集い、田端は創作と生活が重なり合う文士村としての一面も持つようになる。元々のこの住宅には、こうした土地の歴史を感じさせる空気感があり、〈東sui京〉のコンセプトも、そうした背景を踏まえて立ち上げられている。 本建物は、もともと勝亦丸山建築計画の事務所であると同時に、同社が手がけるシェアハウス事業の拠点のひとつでもあった。谷根千エリアのまちづくりに関わる人たちが暮らし、共用部では事務所と居住者が協働してイベントや集まりを開くなど、仕事と生活、地域との関係が重なり合う場として運営されてきた。そうした運営を通して建物所有者との関係も深まり、退去のタイミングで将来的な建物の活用について対話が重ねられることとなった。 検討の過程では、設計者が継続して事業として借りる案や、オーナー自身が事業を行う案など、複数の可能性が提示された。その結果、本プロジェクトでは、事業者が一定期間建物を借り受けて運営を行い、設備の更新や耐震補強といった建物の更新を担ったうえで、将来的に建物をオーナーへ返却する仕組みが採用されている。こうした枠組みのもと、キーマンが事業主体として参画し、〈東sui京〉のプロジェクトが始まることとなった。 このような仕組みのもと、住宅としての構成やスケール感を大きく変えることなく、ホテルとしての非日常性をいかに立ち上げるかが、計画上の重要なテーマのひとつとなり、「日常と非日常のあわい」が空間のコンセプトとして据えられた。 ここでは、日常のなかに常に入り込んでいる外部の要素を、非日常的な要素として捉え直す操作が行われている。ひとつには、1階の天井を緑がかった左官仕上げとし、わずかなつやを与えることで、庭からの光を天井面に受け止め、色味を伴って室内へと反射させている。これにより、室内はやわらかな緑の気配に包まれ、内装に用いる素材群もその色調にあわせることで、外部の環境が内部へと滲み込むような状態がつくり出されている。 また、広くとられたエントランス部分は、リビングスペースと一体として床にレベル差をつくり、地形の一部のように扱っている。そこに天井高さの操作を加えることで、住宅のスケールを保ちながらも体験に変化を与えている。こうした操作を積み重ねていくなかで、住宅性を失わないラインを見極めつつ、ホテルとしてのラグジュアリーの度合いを慎重に調整しながら設計を行った。 本事例は、空き家として放置されることなく、まちの文化をつくる資源として、新たな時間と使い手を得て更新されていく。〈東sui京〉は、その仕組みと空間の両面から、都市における建物の持続的なあり方を静かに示している。

物件所在地

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