菅沢の住居改修

ビルディングタイプ
戸建住宅

補足資料

断面パース
レンダリング
前後図面
図面
既存・工事中
その他

DATA

CREDIT

  • 撮影
    中土居宏紀
  • 設計
    中土居宏紀建築研究所
  • 担当者
    中土居宏紀
  • 施工
    大友建設株式会社 / 丹野睦 / 青木力
  • 構造設計
    中土居宏紀建築研究所
  • 照明計画
    U Lighting Office / 藤嶋祐紀

東京から山形へ、夫婦と三人の子どもたちは、夫の両親が暮らす築140年にもなるという民家に移り住んだ。 今回は、その家の建替えや、別棟を建てる選択肢を含めて相談を受けた。 70坪を超える家は何度も増改築を繰り返して当初の姿を失っていた。 部屋が細かく仕切られ、大家族が集う場所は狭く、収納も足りない。 使われなくなった個室は物置と化し、冬の寒さや水回りの分散など、問題は多くある。 しかし、ふと天井を見上げると、過去の囲炉裏の煙で黒光りする太い梁と、そこに鎮座する神棚が目に入った。代々受け継がれ、時を重ねてきた家が、静かに語りかけてくる。「建替える」という選択肢は心の中から消えた。 また、夫婦は共働きで、平日は祖父母が三人の孫を見守っている。 それは昔の日本の家族の姿であり、また現代的でもあった。 助け合いながら暮らす様子を見ていると、「別棟を建てる」よりも自然な道があるようだった。 そこで、二世帯七人が共に暮らせる「改修」を提案した。限られた予算の中で、家の性能と機能を現代の水準に引き上げつつ、この地方の古民家にみられる、無骨さ、大らかさのようなものを取り戻すことを目指した。 築140年の平屋部分は、追加された間仕切りや天井を取り払い、南の庭に面した一室の居間へと再編した。 中廊下がなくなり、見通しの効く一室空間となったキッチンからは四季の表情豊かな庭の光景を望むことが出来る。 七人が囲う大きな食卓は一枚のLVLで作り、大黒柱を中央の支点として据え付けた。 かつて物置だった縁側はベンチのように腰掛けられる濡れ縁とした。 今ではバーベキューや庭遊びなど、家族の憩いの場となっている。 築40年の増築部分(二階建て)は、間取りを大きく見直した。 家族用の裏玄関を新設し、表裏の玄関を通土間でつなぐことで、光と風が通り抜け、子どもたちが自由に駆回れる空間にした。 この通土間と居間は3つの動線でつながっている。 1つ目は子どもたちの遊び場・学習室にもなる和室を通る「表動線」 2つ目は裏玄関~衣類収納~洗面室を経由する「帰宅動線」 3つ目は食品庫を通り台所に至る「水回動線」 この3本の機能動線が、大家族の往来をスムーズにし、ハレとケ、現代の暮らしと古民家を仲介する役割を担っている。 内装は、解体中に露わになった創建時の天井や梁柱、増築時の深緑の聚楽壁をなるべく生け捕り、それらに馴染むよう、新調する床や壁は灰色の濃淡でまとめ上げた。  こうして、創建時、増築時、今回の改修時、それぞれの素材が地層のように重なり、調和して現れる状態を目指した。 間取りや内装の改修と同時に、基礎を打設しなおし、耐力壁を適所に配置、屋根は劣化の激しかったモルタル瓦から軽量のガルバリウム鋼板へと葺替えて屋根断熱を施した。 こうして全体の断熱性や耐震性も飛躍的に高めることにより、70坪超の古民家の趣を活かしつつ、30坪の新築住宅に勝るとも劣らないコスト・性能・機能にて供給することが出来た。 これは理解ある施工会社、大工の腕によるものが大きく、今後も技術力のある作り手と共に、地方に数多残る古民家の改修が手掛けられたらと考えている。

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