
PROJECT MEMBER
みどりの記憶を継承する〈おおきな木〉 東京表参道。欅の並木道から枝分れした〈ロハス通り〉と呼ばれる幅員 4m の道沿いに計画地は位置 する。 そこにはかつてクレヨンハウスという絵本とオーガニック食材のお店があった。 通りに面したサンクンガーデンには豊かな緑が生い茂り、都市の喧騒の中にぽっかりと浮かぶ森のよ うな空間は 40 年ものあいだ人々に愛されてきた。 〈GREENTERRACE 表参道〉を設計するにあたってまず考えたのは、この場所がもつ〝みどりの記憶 〟を継承できないかということ。そしてバトンを受け取るからには、表参道の街歩きがもっと楽しく なるような、都市のダイナミズムを取り込んだ立体的な森をつくりたい。ということだった。 この建物はおおきな樹木のような成り立ちをしている。根と幹にあたる地下 1 階地上 4 階のメインフ レームは鉄骨と RC によるハイブリッド構造。洞窟のような大空間をもつ地下の RC フレームは 1.2 階で SRC 柱と鉄骨梁、3.4 階で開放的なスチールフレームへと姿を変え、上層階にいくに連れて開か れていく眺望と呼応する。 樹冠にあたるメインフレームの外周部には植物が生い茂るテラスと軽快な屋外階段が取付き、行き止 まりのない回遊動線をつくりだす。 植生は階ごとに異なる。地上から屋上に掛けて、在来種中心の深緑から外来種を含む浅緑へ、多様な 植物が共存しながらファサードにみどりのグラデーションを絵描く。植物への灌水にはテラスから柱 を経由して地下に貯留された雨水が、階段や外構の舗装にはクレヨンハウスのレンガタイルがそれぞ れ再利用されている。 ここでは雨や素材も循環している。 誰もが訪れることの出来るテラスや階段には、すべての階にアンモナイトや水晶を種石としたテラゾ ー仕上のベンチをもうけた。ここは街歩きを楽しむ人々が時折ふらっと立ち寄り、地下に空を映し出 すインタラクションアートや道標のような鉄のアートを眺めながら、都市の中で束の間ひとりになれ るパブリックスペースとなる。 〈GREENTERRACE 表参道〉を訪れる人々は、欅の並木道から遊歩道を経由してグランドレベルのピ ロティへと導かれ、植物に招かれるようにして空中庭園を立体的に散策し、ルーフトップへと至る。 そこからは 100 年前人の手によってつくられ、時と共に成熟した明治神宮の森が見える。2024 年が、 ここに建築と植物が分かち難く共存する 100 年の物語のはじまりの年となることを心から願いたい。
