PROJECT MEMBER
東京のファッション・カルチャーの中心地のひとつである渋谷区神宮前に計画したテナントビルである。敷地が位置する神宮前5丁目は、住宅街としての面影を残しつつカフェやヘアサロンなど小規模な店舗が混在する閑静なエリアである。 はじめてこの街を訪れたとき、多種多様な植物が印象に残った。 青山通りの喧騒から一歩入った街路の両側を彩る古い家屋の前庭や新しいビルの屋上、更には店先のプランターや植木鉢。 そこに生息する植物が連なることによって総体として圧倒的なボリュームの緑となり、 建築と植物が共存する街並みをかたちづくっていることにとても魅力を感じた。 〈TRAIL-神宮前5丁目ビル-〉ではそうした街の遺伝子を引き継ぎながら、街歩きがさらに楽しくなるような環境づくりを目指した。 最大の特徴は、建物の外周部をらせん状に巡る屋外階段である。各階のボリュームを前後左右にズラすことによって生まれたこの空間は動線であると同時に、 都市のすきまを巡るシークエンシャルな散策路でもある。 緑豊かな街路から隣家の裏庭を経て、その向こう側の街路を行き交う人々を遠目に見みながら真っ直ぐに空へと向かう階段をあがると、 東京の街を一望できる緑豊かな空中庭園が広がる。 テナントビルは、面積の90%をがらんどうの空箱が占める。設計者に残された余地は10%。 そこに植物と建築・建築と都市をつなぐ余白としてのオープンスペースを挿入した
12

