田中町の地蔵祠

ビルディングタイプ
その他宗教施設

DATA

CREDIT

  • 撮影
    倉本あかり
  • 設計
    赤熊宏紀建築設計事務所
  • 担当者
    赤熊宏紀
  • 施工
    株式会社 Puddle&Flag / STUDIO-A

この祠は700×900と言う半畳にも満たない 小さな建築(基壇は900×1050)である。 京都市の町内ごとに多くのお地蔵様が祀られ、 日常的にお参りをし、地蔵盆なども行われる。 これまでいくつかの都市に住んだ実感としても、 京都は他の地域に比べてお地蔵様が身近な存在である。 その一つであるお地蔵様の祠の改築において、 設計する機会を頂いた。 建替えの経緯としては、 ウナギの寝床状の敷地の一角に建っていた祠だったが、 既存建物の取壊しに伴って背面が剝き出しになって いることに加え、木部の腐食もあった。 建替えにあたり求められた要件としては、 ①屋根からの雨水が塀を超えて隣地へ侵入しないための  雨水対策を行うこと ②盗難防止の対策を講じること ③間口が狭い敷地であり、自動車を駐車するために中に  おさめるものは変えずに祠自体の有効寸法を縮めること である。 家具の延長のようなイメージで設計を開始したが 電気や機械設備・断熱等が必要ないものの、 考えなければならないことは住宅に近く、 多くの工種も必要となる。 これは、同時に工事費も増していくことになる。 とは言え、予算は限られている。 町内の方を中心に、中に祀られている お地蔵様はお参りする対象であり、 祠自体に対して手を合わせているわけではないが、 祠越しに手を合わせるため、 安普請にするわけにもいかない。 そこで、元々備わっている要素の統合と 改変を行うことで、コストを抑えながら 前述の要件を満たすために思慮を巡らせた。 既存の祠は鉄製の柵で覆われた上、鍵もかかっており、 お参りするにしても距離を感じてしまう設えであった。 まずは、この防犯機能も祠本体に組み込むことで 省スペース化も併せて実現することから始めている。 また、街中の祠をいつも以上に注視していると、 基礎パッキンの上に置いているものが多く、 どれも目立ってしまっており、 これは解消すべき点だと考えた。 さらに、住宅で言うと土台に当たる部分の天端は 雨がかりで傷んでいるものも多かった。 この問題に対してはアンカーで祠全体を浮かすこと、 土台を最小限に抑えることで水対策と 見栄えの両立を図っている。 軒樋を設けていても雨量が多い場合は 隣家まで雨水が達してしまうと言うことで 鼻隠しを肥大化させて内樋を作るおさまりを考案した。 これにより全体としてはシンプルな構成でありつつも、 チャーミングな表情になったと思う。 京都市内に同様の地蔵祠が 3000以上あると言われているようだが、 注視して祠を見ると多種多様な形状のものがあるが、 この祠は奇をてらったものではないので、 多くの祠と同様に日常の風景になっていく。

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