




PROJECT MEMBER
西宮市北部、里山のふもとに建つ住まいです。 周辺はなだらかな山林のあいまに田畑が広がった、空の広いのどかな地域。この敷地も、北東方向がそんな自然豊かな里山に隣接しています。しかしそれ以外の方角に関しては、隣家や田畑からの視線が気になる立地でもありました。 計画にあたっての課題は、そのような環境のなかでプライバシーを確保しつつ、北東に隣接する里山風景をできるだけ活かすこと。そこであえて、その里山「だけ」しか見えない切り取られたビューをメインに据え、一方全体はロの字型プランとして外部からの視線を遮りつつ、住まいの中心にある中庭からの光で充たしていく構成としました。 RC壁式構造でつくられた建物は、外観からも明らかなように機能の異なる2つの構造体から成り立っています。ひとつは、室内空間を形成するための鉄筋コンクリート打ち放しの躯体。17.5mx11.5mの長方形の真ん中に6.8mx4.5mの中庭を内包する、とてもシンプルでマッシブな矩形です。 もうひとつは、その躯体を覆い隠すように複雑な形状で纏わりつく白い壁です。この白い壁は、玄関までの長いアプローチの屋根、北東の里山に臨む里山テラスやその他の小窓の庇、あるいは屋上の室外機を隠す壁などの役割を持った構造体で、いびつな敷地形状に従いながらも、合理的かつ印象的なかたちとなって建物を完成させています。このマッシブさと軽快さの対比が、里山の緑のなかにくっきりと浮かび上がるように意識して設計にあたりました。 内部空間は、ミニマムながら装飾的なタイルを要所に使うことで、現代的かつ女性的な優しさが加えられました。そのタイルが木の力強さを感じる一枚板のダイニングテーブルや北欧デザインの椅子、民芸細工のようなペンダント照明などを設置することで一体的に調和し、シンプルでミニマルな空間が持つ冷たさと緊張感が緩和され、温かさと居心地の良さとのバランス感覚がとてもうまくいったインテリアに。 周囲に塀を設けることなしにプライバシーを完全に保ちながら、同時に里山の環境と風景も楽しむことができるコートヤードハウスです。

