Inscape

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Tsuneyoshi Hara
  • 設計
    株式会社ひかり工務店
  • 担当者
    原田隆広
  • 施工
    株式会社ひかり工務店
  • 構造設計
    株式会社エヌ・シー・エヌ

この住宅のテーマは「Inscape 内なる風景」である。背後に山の稜線を望み、南北に里山の緑が抜ける市街化調整区域という希少な環境を前に、「風景の中に住む」のではなく「風景の一部として佇む」ことを目指した。 敷地の手前には人の身体をかたどったような有機的な「丘」を立ち上げている。周囲を壁で囲うのではなく、起伏と植栽で視線をそっと受け止めることで、道路や電柱などの人工物を遠ざけながら、山並みや空だけを選び取るフィルターとして機能させた。建物はその丘に埋もれるように配置され、外観の主張は極力抑えている。 内部は、洞窟のように少し暗く、天井高や床レベルを細かく変化させた構成とした。玄関はあえて高さと光量を絞り、リビングや吹き抜けに向かって、圧から解放へとスケールがほどけていく。窓は大きさや位置を慎重に調整し、北庭や南庭の緑をピンスポットのように切り取る。日本建築に見られる「陰翳」や「余白」の感覚を、木毛セメント板やモルタル下地といった素地のままの素材と組み合わせることで、移ろう光と影を静かに受け止める器としての空間を目指した。 サウナや半地下の書斎、ヌックなど内向きにこもれる場を点在させつつ、それぞれの居場所から必ずどこかの風景に視線が抜けていく。自然と建築、そして日々の暮らしが、声高ではなく淡く重なり合う——その「重なり方」そのものを設計した建築である。

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