




PROJECT MEMBER
本計画は大正末期創業の富久千代酒造(佐賀県鹿島市)にある登録有形文化財の旧精米所(1921年竣工)を来訪者の試飲や酒造り展示のできるギャラリーに改修したものである。登録有形文化財であるため、基本的に外観や形状の変更はできず、外壁を焼杉によって修景している。旧精米所の建物は長らく倉庫となっており、隣の設備棟に構造的にもたれかかって傾いている状態であった。計画では、屋根の軽量化とともに曳きおこしにより傾きを修正し、梁の下に新たに鉄板を挿入することで構造補強している。12mm厚の黒皮鉄板の壁は、正方形の孔のまわりに4.5mm厚のリブ枠材を取り付けることで耐力を上げると同時に、一升瓶や四合瓶を展示する什器となっている。構造がそのまま仕上げになる鉄板壁は、磁石を利用した什器として使うことで将来の展示計画への対応も考えている。 構造補強の鉄板を内側にオフセットして挿入することで、内壁の94年前の土壁はできる限りそのまま残そうと考えた。あえて鉄板を用いたのは、黒皮鉄板にも土壁の持つエイジングと同質の錆びゆく美学があると感じた所以である。
8

