




PROJECT MEMBER
老舗百貨店・藤崎の風除室内に構える フラワーショップのリニューアルプロジェクト。 仙台のまちと長年歩んできた百貨店と、 アーケードが交わる玄関口に位置する風除室は、 百貨店の内と外が曖昧に重なり合う場所であり、 通路・店舗・ウィンドウディスプレイという複数の 役割を同時に担う特殊な空間である。 本計画では、19世紀パリにおける商店街の 原型である「パッサージュ」を着想の起点とし、 人の流れと花のある空気感が自然に溶け合う “中間領域”としての空間を目指した。 通り抜けるための場所でありながら、ふと足を止め、 店の気配に引き込まれていく。 その境界が曖昧になる状態を、空間構成によってつくり出している。 人通りが多く、視線が絶えず行き交う環境において、 動線や奥への視認性、消防設備といった機能を妨げる ことなく、MAUVEの世界観を滲み出させるため、 24mmの黒スチールによる軽やかなフレームを採用した。 フレームは空間の輪郭を柔らかく示しながら、 内と外の境界を曖昧にし、通路にいるのか店舗の中に 入り込んだのか分からなくなる感覚を生み出している。 季節や催事、日々の変化に応じて柔軟に表情を変えられるよう、 棚は可動式とし、フレームの中で自由に構成を組み替えられる設計とした。 花の色や香り、人の動きが重なり合い、その時々で空間が 構成される、呼吸するようなショップを意図している。 店内奥には、3.3mのカウンターを配置した。 MAUVEが大切にしている、アレンジメントやラッピング といった“人の技”や所作が自然と視界に入るよう、 空間の重心として計画している。 軽やかなスチールフレームと、重心のあるカウンターが 対比的に存在することで、百貨店の玄関口にふさわしい 品格と存在感を生み出した。 通路としての機能を保ちながら、花のある空気が滲み出していくこと。 MAUVEは、百貨店の内と外をつなぐ中間領域として、 人々の日常に静かな彩りを添える空間を目指したプロジェクトである。

