
PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- パビリオン・イベントブース
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 1272㎡
- 竣工
- 2025-03
CREDIT
- 撮影
- 笹倉洋平
- 設計
- KOMPAS
- 施工
- 三田工務店
- 構造設計
- Graph Studio
- 設備設計
- ZO設計室
- ランドスケープ
- eiko tomura landscape architects
「フューチャーライフヴィレッジ」は、「共創と対話」をテーマに複数の展示やイベント企画が共存する、大阪・関西万博の協会主催展示施設です。企業・団体の入れ替え展示を行う「フューチャーライフエクスペリエンス」、参加型プロジェクトの発表を行う「TEAM EXPO パビリオン」、世界の継続的な取り組みを紹介する「ベストプラクティス」の3つの展示企画に加え、一般来場者用トイレ棟も含めて一つの施設として構成されています。 「非中心・離散」をテーマとする本万博の会場構成に呼応し、廃棄物処分場埋立地である夢洲で育まれた湿地帯の記憶を中庭として引き継ぎ、「多様でありながら、ひとつ」を体現する、集落のような風景を建築化しました。グリーンインフラとして「いのち」の循環を象徴する中庭には、個々の植物が際立つ小さな植栽帯や池がちりばめられ、多様な自然と人々が等価に混ざり合う開かれた場を創出しています。中庭のまわりには大小さまざまな円形の展示棟が分散配置され、リング状の回遊通路がそれらを緩やかにつないでいます。各棟は独立性を保ちながらも円環状の動線で等価につながれ、多様性と一体感が両立させながら、同時多発的な展示を心地よく共存させています。明確な動線軸としてのリング通路には、人々の流れやアクティビティ、光や風などが循環し、施設内の活動を一望できるとともに自由な回遊を促します。 中庭側の展示棟は庭から立ち上がるような蛇篭壁で構成され、開放的な半屋外空間として中庭と連続します。鉄筋トラスと金網の組み合わせにより構造体として自立した蛇篭壁は、従来の景観・土木工法の枠組みを越え、通風・採光に優れて緑も育む、新しい環境的な壁の在り方を実現しています。蛇篭形式は、解体後の詰め物素材の再利用や詰め替えによる移設・再構成も可能です。蛇篭の詰め物として、産業廃棄物焼却灰を再資源化した溶融還元石や廃ガラスを再利用した人工軽石など、土地の背景に関連する再生素材のみを利用し、場所の特性を取り入れた新たな風景を生んでいます。 各円形ユニットの屋根は、高さや形状を変えながら木の葉のように重なり合い、全体で森のような立体的な風景を形成します。中庭から放射方向に向かって屋根が高くなることで、中庭の開放感や親しみやすいスケール感と外周部の展示空間としての十分な空間ボリュームを両立させています。山型・谷型・片流れの三種類の屋根形状が組み合わされて、全展示空間に自然光を取り込むと同時に、屋根の雨水を中庭へと導きます。集められた雨水や壁面植栽の潅水は中央の池に貯水され、この池の水を利用した熱交換により輻射冷房パネルが半屋外空間を冷却し、水がさまざまな形で循環します。夏場には打ち水のように循環水を蛇篭壁の石に散水し、自然の力を活かした快適な環境づくりも試みながら、意匠・構造・設備・外構が一体となった実験的な環境空間を中庭全体で実践しています。 展示施設脇のトイレ棟においても、よりスケールの小さな木造棟として、円形ユニットによる空間構成が反映されています。屋根形状を活かして自然採光・自然換気を行い、円形の個室配置による快適な動線空間が、人々のスムーズな利用を促します。木造躯体やCLT(直交集成材)の屋根による木の素材感が、展示施設とは一味違う空間体験をもたらします。 一過性のイベントである万博においても、仮設建築にありがちな場所性の希薄さや内外の分断を超え、変化する自然や環境に寄り添う建築を試みました。限られた会期の中で出展者や来訪者に豊かな体験をもたらすと同時に、人と環境の新たな関係性を模索する、これからの建築の在り方への実験的な一歩となることを期待しています。
