




PROJECT MEMBER
東京の商店街にほど近い狭小住宅の集まるエリアに、若い夫婦のための住宅を計画した。 都心からすぐの狭小住宅でありながら、可能な限り高く・広く・大きい空間を実現する試みを行った。 高さ制限の中でかろうじて3階建てにすることも可能であったが、階高が最低限に抑え込まれてしまい、窮屈な暮らし方を強制してしまうことを懸念していた。そこで階数を減らし2階建てとし、面積ではなく気積を最大化することで、狭小住宅らしからぬスケール感を有する空間を提案した。水回りと寝室を配置した1階の天井高は最低限とすることで、LDKのある2階は4mを超える天井高を確保できた。 切妻屋根の北側半分はヴォールト状に曲面を形成し、内部ではこの曲面がハイサイドやトップライトから落ちてくる光を受け止め、空間全体に光を広げる。2階を満たす光は階段とガラスのベンチを通じて1階まで広がり、建物全体にスケール感を伝播させていく。 2階の伸びやかな空間性を損なわないため無柱空間とし、4.55m×7.28mの屋根を支持するトラスを中央に配置した。ヴォールト状の屋根は円弧状のスチールフレームで支えており、木の構造体には曲げ材が出ない構造形式としている。表面にはφ9の丸鋼のみが現れてくるため、めくれて浮かんだような非常に軽やかな曲面屋根が出来上がった。 1階と2階をつなぐ吹き抜けには、ガラスのベンチを設けている。吹き抜けに身を投げ出すような体験をつくることで、建築の大きなスケール感の中にヒューマンスケールなふるまいが入り込み、スケール感が交錯する独自の風景をつくる。 このような試みは、狭いながらに心地よく暮らすこれまでの都市型住宅の模索の一解となり得る。玄関を開けて階段を上がるごとに現れてくる「らしからぬスケール感」は、住み手の暮らしと身体感覚がよりダイレクトにつながることに寄与すると考えている。
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