東京都八王子市郊外の住宅地に計画された矯正歯科を専門とする歯科医院の建物です。JR八王子みなみ野駅から程近い閑静な住宅街の一区画に2階建の歯科医院と5台分の駐車場を計画しました。 前面道路から1.5m程度の高さまで盛土がされた敷地の大半を切り崩し高低差を解消することで、階段等を設けることなくエントランスまでアクセス出来るようにしました。 建物はプロポーションの異なる6つの箱を3段に積み上げた、積み木を彷彿させる構成になっています。まず、3つの箱を隙間をあけて配置し、その隙間の上に箱を2つ載せ、さらにその上にもう1つ載せています。コンクリート打放の外壁を全面補修し目地やPコンの跡を潰すことで、一つ一つの箱がマッシブな表情となり、積み重なりがより強調されます。 内部空間は基本的に明度の異なる無彩色の仕上げとしているためシャープな印象になっていますが、フローリングや木製の家具、パーテーションなど随所に木質を用いることで歯科医院で感じる独特な緊張感を和らげるような柔らかさも演出しています。 1階には受付や待合、診察室、カウンセリング室、消毒技工室など診療関係の諸室を配置し、2Fは院長室、ドクタールーム、スタッフルームなどの諸室を配置しています。 待合と診察室の通路を配した1階の2つの隙間の上に載せた箱は、下面がない空箱のためそれぞれ高さ5mを超える吹き抜けを持った空間となっています。 積み木のようなシンボリックな構成と、そこから生み出される空間とのバランスを丁寧に探りながら、多様で居心地のよい歯科医院の実現を目指しました。