今治造船丸亀工作オフィス

ビルディングタイプ
オフィスビル

補足資料

杭柱一体工法の採用
ダイアグラム
光と風を取り込み工場への動線をサポートする違い屋根
ダイアグラム

DATA

CREDIT

  • 撮影
    西川公朗
  • 設計
    矢野青山建築設計事務所
  • 担当者
    矢野寿洋 / 青山えり子
  • 施工
    りんかい日産建設
  • 構造設計
    平岩構造計画

造船国内最大手である今治造船の工場の中でも、最も大きい丸亀工場にたつ工作オフィスの建て替えプロジェクトである。工作部というのは、造船工場において、現場と事務所を往来し、造船の各工程を監督する部門であり、建築現場の現場事務所が大きくなったようなイメージに近い。(既存の建物は、丸亀工場ができた約50年前に建設されたもので、老朽化・狭隘化が問題となっていた) そのため、いわゆるオフィスと聞いてイメージする、建物内で働くことだけを考えて計画するのでは不十分で、現場を補完する役割を考えて計画することが必要とされた。 全社員へのアンケートを実施し、雨天時の現場往来の考慮・油で汚れる衣服や靴の対策・段階的なセキュリティー区分・現場との円滑な動線計画など、工場とオフィスを往来する動線をどうデザインするかが重要なことが分かった。モックアップによる細かな検証を経てつくった現場装具置き場、手洗いや乾燥など様々な役割をもった軒下空間の計画、強い西風を防ぎゆとりをもったアプローチの設定、セキュリティ外の打ち合わせスペースの確保など、特有の課題をひとつひとつ解決しながら計画を進めた。 不特定多数が利用する食堂や協力事業者のためのスペースはラウンジ棟として、工作部門が入る本体棟とは別棟としてセキュリティを区分した。2つの棟の間を室外機やキュービクル置き場を兼ねた屋根でつなぎ、地上レベルを十分な広さのある半屋外空間として、工場全体の背骨となるメイン動線をつくり、中庭広場の整備を計画することで、安全かつ快適に通行できる計画としている。 工場との往来を重視しつつ現代的な働き方の変化に対応したオフィス計画として、合理性と多様性の両立を考えて設計した。合理化の徹底として、埋立地の軟弱地盤で杭が必須となることから、杭と柱を一体化する杭柱一体工法を採用し、基礎梁を省略し、掘削土量・コンクリート・鉄筋・型枠の大幅な削減を行い、工期・コスト・環境負荷を低減した。 (杭柱一体工法採用もあって、柱はグリッドに載せて計画し土地の有効活用と将来的な拡張性に配慮している。) グリッドにのった柱に対して、船のスクリュープロペラから着想した方向違いの屋根をかみ合わせることで、光や風を取り入れ室内環境の多様さを生み出しながら、雨に濡れない屋外との往来スペースを周囲に創出した。 将来中庭が設置される東側には本体棟とラウンジ棟にまたがる大庇を設置し、社有林の檜を用いた暖かみのある伸びやかな軒が工場との間に憩いの場をつくりだす。 本体棟は、千鳥状に強軸弱軸の向きを変えて配置したH鋼ラーメン構造とし、大梁の上に小梁を重ね、防煙壁を兼ねながら照明や配線・配管ルートに利用している。 ラウンジ棟は、BCR柱のラーメン構造でシンプルな大空間を構成し、2階の四周に配された外廊下から直接入れる形式とあわせ、フレキシブルな利用に対応できるように配慮した。 風除室を兼ねた安全帯やヘルメットの置き場、工具がぶつかっても破損しにくい壁面、清掃のしやすい床素材、多様な利用者に対応した細やかなセキュリティーラインの設定など、合理性と多様性の両立を様々な角度から検証しながら計画した。 様々な試みをしっかりと検証し、レイアウト調整や今後のオフィス計画に反映することで、「現場オフィス」という頭脳と身体のハイブリッドなワーキングプレイスの構築を地方で手掛けていくことで、地方の活性化に寄与したいと考えた。 AIやDXの進化によって、特に地方において純粋な事務部門が縮小されていく中、生産を支える「現場オフィス」こそが、AIやDXでの代替が難しい、頭脳と身体のハイブリッドなワーキングプレイスとして重要なテーマだと考える。

物件所在地

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