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PERMANENT/ アトリエナガラ建築設計事務所 共同設計 敷地は岐阜県羽島市。田園が広がる穏やかな風景の中にある。初めてこの地を訪れたとき、山から吹き下ろす風に稲穂が揺れる情景が、深く印象に残った。 本計画は、土木建設業と不動産業を営む企業の新たな拠点として、地域に根ざし長く愛される新社屋の建設を求められたものである。 私たちは検討を重ねるなかで、敷地を取り囲む「その土地にとっての日常的な風景」に潜む価値を最大限に引き出すことこそが、今回のこの場所で求められる建築計画の本質であると考え、周辺環境や自然に習い溶け込ませるという手法ではなく、建物の存在によってそういった価値にふと気づかされる「装置」のような建築を構想するに至った。 象徴的な屋根は東へ向かって大きくせり上がり、空を切り取るようなプロポーションを描く一方で、軒先は地面に迫るほど低く抑えている。屋根の一部にうねりを加えることで、建物の輪郭に微かな揺らぎを与え、光の反射や空の色、雨粒の動きなどが浮き立たせ、環境や現象を顕在化し周辺環境の魅力を引き立てることを意図すると共に、内部の必要な場所に日光や風景を取り込む操作としても機能している。 内部空間の構成は、内と外が様々な距離感でつながることを意識して設計を行った。せり上がった軒下に自然と生まれる高さのある空間には、エントランスや会議室などの共用部を配置し、テラス空間を室内にまで引き込んでいる。執務室には内庭や縁側といった中間領域を挿入し、屋外と緩やかにつなぐ構成とした。 この「装置」が作りだす場所への気づきによって、この土地に住まう人、初めて訪れる人、様々な人々の記憶に残る「新しい日常の風景」が根付き広がっていくことを願っている

