
屋内での生活と屋外での活動が自然に一体化するようなライフスタイルのために設計された住宅です。段丘状の広いテラスと住宅各所から眺められるシンボルツリーをコミュニティの中心としており、各居室は高い独立性を持つ反面、テラスを互いに共有することで屋外空間を通じた休息時のコミュニケーションが誘発されるような、つながりのある空間の連続としても計画されています。 クライアントの家族構成は共働きのご夫婦と小学生の長女、そしてやはりお仕事をされているお祖母さまの4人で、三世代が生活していますが二世帯住宅のように物理的な区切りはありません。その代わり、家族4人のうち3人がお仕事をされていることから動線が交錯せず各自が独立性を持って活動出来る構成が求められることになりました。これに対応し、縦動線となる階段を中心に三方に各居室を配置することで各々の活動時間が一致しない場合でも相互に干渉せず生活が出来るよう計画されているほか、各室はそれぞれテラスやシンボルツリーに面しており、機能だけでなく景観やアクティビティの上でも独立した居間が複数存在するかのような構成となっています。 本来は生活サイクルの異なる4人が円滑かつ独立して活動することをコンセプトとして計画された住宅ですが、結果的には新型コロナウィルスの蔓延とそれに伴う勤務や学習のオンライン化・リモート化への対応を先取りした形となっており、独立性の高い居室と植栽のある共有テラスとを自由に行き来出来る、巣籠もりと屋外活動が一体化された生活を可能にしています。