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銀座の美学を現代の天神へ接続する —— 没入と回遊の文具空間 ■ プロジェクトの背景と文脈 福岡・天神の新たな都市核となる「ONE FUKUOKA BLDG.」。オフィス・商業・ホテルが積層するこの複合施設において、銀座伊東屋の出店は、単なる物販店舗以上の「文化的インフラ」としての役割が期待された。 本計画における最大のテーマは、銀座本店が100年以上にわたり培ってきたブランド・アイデンティティ(BI)を継承しつつ、いかにして福岡という新たな都市コンテクストへ着地させるか、という点にある。 ■ デザインコードの継承と進化 空間デザインの基調は、銀座本店のフォーマットを踏襲している。しかし、それは単なる意匠の転用(コピー)ではない。 什器のプロポーションやディテール、マテリアルの選定において、本物件のスケール感に合わせた再編集を行った。主材にはオークを採用。ビル躯体の無機質な表情に対し、木質の有機的なテクスチャーを対比させることで、商業施設特有の喧騒から切り離された、静謐かつ親密な空間の質を確保している。 ■ ゾーニングとシークエンス 特筆すべきは、伊東屋オリジナルブランド「ROMEO」専用エリアの構築である。これは支店展開として初の試みであり、ブランドの世界観を空間的に具現化する象徴的なゾーンとして位置付けた。 平面計画においては、効率性のみを追求したグリッド配置を避け、あえて視線が抜けない「溜まり」や「隅」を設けることで回遊性を創出。来訪者が店内を巡る中で偶発的にモノと出会う、セレンディピティを誘発する空間シークエンスを意図した。

