
県庁所在地近郊の住宅地でありながら、田畑や用水池が点在する自然に恵まれた街。その中でも湖に面し、豊かな緑に囲まれた、さながら映画やお伽話に出てきそうな絶好のロケーション。 いわゆる絵になる建築は、幾らでも描けそうな力のある敷地である。湖面に向けて大きく開きたいところだが、ほぼ真西に当たるため、特に夏場における西日の影響が懸念された。 開口は極力絞りつつも、恵まれた敷地環境を存分に取り込める空間とするよう設計した。1Fはピロティとし、主要な生活空間は2Fに集中させ、また建物の2F部分の外周を1周するように開口部を設けた。こうすることで、普段の目線を高くし眺望を望みやすく、また建物に浮遊感や抜けを与え、やや大きめの建物であるが、圧迫感を消し、周辺環境との調和を図った。内部、特にリビングは、壁の配置、ガラスや壁掛けのテレビの反射をも利用し、また、開口部を通じて湖面の光の反射が天井に揺らめくため、あたかも全方向から光を取り込んでいるよう設計に工夫を施した。