CENE FUKUOKA

ビルディングタイプ
アパレル・雑貨
アワードバッジ
11
432
日本 福岡県

DATA

CREDIT

  • 撮影
    鳥村鋼一
  • 設計
    ANONIMAL design community
  • 担当者
    江上史恭 / 犬丸桃花(元所員)
  • 施工
    STCイノベーション ナギノタカシ
  • ライティングデザイン
    Yu light
  • プロデュース
    株式会社Will 村井隆太
  • オガタストーン

CENE FUKUOKAはアクセサリーブランドである株式会社CENEが福岡市今泉に自社初のカフェ併設路面店として、店内でドリンクを楽しみながら、アクセサリーを手に取り選ぶ楽しさも味わえる空間デザインを行いました。 今泉の特徴としては福岡市中心の天神エリア傍に位置しており、古くから住宅街でありながら、住宅スケールの店舗や多種多様なショップ、大規模なマンションなどが混在する静かなエリアです。その地域の中で元は住宅であった建物をアクセサリーとカフェが融合したショップへコンバージョンしました。 既存建物は間口が3.3mで、奥行20mの細長い平面とアーチ型のファサードという特徴をもっていました。また既存住宅は1階が洋室、2階は和室であり、異なる様式の中で隣地の庭や屋根の存在を感じながら都心の生活が営まれていました。 これらの特徴を活かすために既存の仕上げ、空間構成を残しつつ、奥行性を感じられる空間と、異なる性質をもつ上下階の関係を築くために「半付加改修の作法」として以下の方法で空間を構成しました。 その1. エントランスカフェエリアは2階床を解体し、2階の既存天井は残したまま1.5階の高さに天井を挿入する- エントランスの上部を吹抜けとし、新たにFRPでヴォールト状に成形した天井を1.5階の高さにつくることで、2階の窓がハイサイド窓となり、ぼんやりとした光を取り入れています。また、日が沈むとアッパーライトによって天井全体が反射し、均質な光をカウンターエリアへ届けます。 その2. 1階物販エリアはL字型の天井・垂れ壁によって既存窓の天端ラインを整え、奥行性をつくる- カフェエリアから物販エリアへの動線は、最も奥行が感じられる場所となっており、この場所に視線の抜けをつくる必要があると考えました。また、既存窓はサイズや高さの異なる窓が配置されていたため、それらを整えるものとして、天井と垂れ壁によるL字の天井を付加しました。 その3. 階段空間はアーチ状のシルバー壁によって光を重ねあわせる- 上下階の異なる様式をつなぐ階段空間において、壁の1面はカフェエリアのヴォールト天井のB面の壁であるため、アーチ形状をしています。その壁にシルバー塗装を施し、2階の窓から入る光を反射させ、階段空間を通して隣家の陰りになる通路部分にも光を重ねあわせるような作法です。 また既存の床の両袖を残し、タイルカーペットを重ねることで光を受け止め、2階との仕上げのつながりをつくりました。 その4. 2階の半分の壁は聚楽壁の表層のみ剥がして下塗りを仕上げとし、造形的な欄間を新設する- 2階の壁は聚楽の左官壁が残っていましたが、上からクロスが貼ってあったり、剥離していたりする箇所が多数ありました。しかし、剥離した後の下塗りは上塗りの跡やシミが残っており、理想的な風合いができあがっていたのです。そこで上塗りを全て剥がすことで錆壁のような独特のテクスチャを表出させました。 什器の材質はCENEのブランドイメージを体現すべく、ステンレス、石、苔をベースとし、水による時の流れも空間に落とし込みました。また、ブランドの新業態を実現するためにスペースごとのアクセサリー什器の下にドリンクホルダーを設けて気軽にアクセサリーが手にとれる状況をつくっています。 随所に用いた壁や、什器、そしてステンレステーブルのアールの造形は素材のもつ特性と、空間との親和性に合わせ、材質や形状を決定しており、アクセサリーがもつシャープさや、きらめきなどに関与するような造形を施しました。 ピンころ石のファサードは石材の加工の際に廃棄される小さな端材を再利用しています。 既存の要素を半分だけ残し、整え、重ね合わせる その作法によって時間の経過に左右されない「錆びにくいステンレスのアクセサリー」と、「時間の痕跡が残る素材」と「新たに付加した素材」が空間内の素材×素材においても、アクセサリー×空間においても対比的な捉え方のできる空間を目指しました。

物件所在地

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