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『素材と時間を纏う、都市のミニマルサロン』 BAROQUE TOKYOは、表参道から南青山へと移転新装したヘアサロンである。 都心でありながら外構の緑や窓越しの景色に恵まれた立地特性を最大限に活かし、都市の喧騒から一歩距離を置いた静謐な空間構成を目指した。 全体のトーンはグレージュを基調とし、色数を抑えたヨーロッパ系コンテンポラリーミニマルの思想を軸に据えている。 本計画の核となるのは、床一面に敷き詰めた磁器質タイルである。 ポルティコの床に由来するレッドストーン調の表情は、何百年にもわたる経年変化を想起させ、赤味と深みを帯びた色層が空間に時間の厚みを与える。 色彩そのものが主張するのではなく、光の当たり方や視線の移動によって静かに表情を変える点を重視した。 ミラー枠やテーブルにはブラックスチールを用い、素材の輪郭を明確にすることで、空間全体に適度な緊張感をもたらしている。 ヴィンテージ家具は造形美を際立たせる要素として選定し、流行に寄り過ぎない普遍性を担保した。 左官仕上げのディスプレイパネルや、ペンダント・ブラケットによる意匠照明は、ソフトブルータリズムの質感を取り込みながらも、 冷たさを感じさせないバランスを意識している。 結果として、素材感を重視したラグジュアリー・ミニマルでありながら、アートギャラリーのように余白を楽しむ現代的サロン空間が立ち上がった。 訪れる顧客だけでなく、日々ここで働くスタイリストにとっても、感性を整え、美容と向き合うための都市の拠点となることを意図している。
