




補足資料





神奈川県秦野市にある動物病院の移転計画。豊かな湧水群と森林資源に囲まれた秦野盆地の中腹に位置する敷地は、地域資源である”はだの桜みち”に面している。動物医療が高度化・専門化する現代において、町医者を理念とするクライアントは地域と共にある動物病院を望んだ。 一般的な病院と異なり、動物病院では医療を動物が受ける。つまり動物病院で人は大半の時間を待って過ごす事になるが、トリミングから診療・オペに至るまでその待ち方は多様である。この多様さを引き受けるため医療の場を母屋にまとめ、下屋として待合をつくった。ここでいう下屋は、部分的合理性によって架構全体までに影響を及ぼずにつくられた母屋を補うための場であり、同時に環境と応答するための工夫である。 下屋は構造から仕上げ、家具・建具まで秦野産桧でつくり穏やかな質感と明るさを持つ中庸な空間とした。架構は道の曲率に応答した放射梁とし、リジットな母屋とのコントラストを強め、外部環境とのつながりを持たせた。微地形や桜並木の曲率を引き受けることで、待合の広がりや道とのレベル差に変化を与え、待ち方のグラデーションを生んだ。ルーフバルコニーは、外部階段を設けて下屋に立体性と公共性を与え、地域住民も気軽に利用できる公園のような場としてつくった。 このように、本来は母屋の付属屋である下屋に多くの工夫を施すことで、道と母屋の間に多様な人と動物の待合をつくった。