裏の家

ビルディングタイプ
戸建住宅
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251
日本 東京都

DATA

CREDIT

  • 撮影
    持田麦
  • 設計
    持田麦建築設計事務所
  • 担当者
    持田麦
  • 施工
    住宅工房 / 工房くろ
  • 構造設計
    林構造設計事務所

裏の家は武蔵国分寺遺跡を望むことができる国分寺崖線の中腹に位置し、奈良時代に創建されたとされる武蔵国分寺(今は基礎のみが残っている)の敷地内であったことが文献で読み取れる。 武蔵国分寺の創建地として選ばれたこの場所は、多くの湧水に恵まれ、今でも自然豊かな場所です。 そんな歴史ある土地に建つその家を義両親から受け継ぐことになりこのプロジェクトが動き出しました。 「裏の家」のサブタイトルに「絵も言われぬ素朴な美」と名付けた。 私たちは仕事柄工事中の建築を訪れる機会があり、その際絵も言われぬ素朴な美に出会うことがよくある。 その「絵も言われぬ素朴な美」には4つの共通する要素があり、それを「骨格の美」「リズムの美」「素地の美」「経過の美」と名付けた。 「骨格の美」:屋根を梁が支え、梁を柱が支え、基礎を伝い地面に荷重を逃す、整然とした力の流れの中にある毅然とした美。 この家では骨格である柱・梁・下地を可能な限り見えるように計画し、荷重の流れを身体感覚として感じることで骨格の美を体感することができる。 「素地の美」:構造用合板や外壁モルタルなどの一般に下地材と言われる材料はその場に求められた性能を発揮することに存在価値があり、その飾らなさ故の美がある。 この家の壁は耐力壁を形成するためにラワン構造用合板を使用し、取り付ける釘も含めてそのまま表している。また天井の梁や屋根の断熱材、浴室も防水下地であるFRP防水のみの状態で使っている。 必要なもののみで成立している気持ち良さ・飾らない空間の中で感じる身の丈に合っている感覚は一種の禅空間にも共通するような美しさを感じる。 「リズムの美」:下地材である間柱や垂木などは一定のピッチ(リズム)で配置される。そのリズムが人の目には視覚的に心地よい美。 モノが物理的に成立するために下地材がありそこに必要なリズムが生まれる美しさがある。 「経過の美」:リノベーションでは壁や天井に隠れていた柱や梁も数十年という時を刻んでいる。そこには時間という鉋(かんな)で磨かれたような美しさを感じる。障子や襖も古屋のものを生かし、張り替えて使うことで時を紡ぐ役割をになっている。 「裏の家」ではこの素朴な美のカケラたちを掬い上げ覆い隠すことない家をつくろうと考えた。 築45年のその家は屋根は瓦屋根、外壁は吹付タイルのバブル期の典型的な和風木造家屋でした。 天井に雨漏りの染みがあったり、基礎が無筋基礎であったりと想定通りの問題を抱えていました。 1・2階の天井を剥がし、柱・梁のサイズを全て記録し本格的な設計に入りました。 調査の結果、既存状態での耐震性能は建築基準法で求められる耐震性能が1だとすると0.2程度の性能しかないことがわかり大掛かりな耐震補強をする必要性を理解しました。 既存の間取りは1階に居間や台所・水廻りがあり、2階が個室という典型的な一戸建て。 新しいプランでは2階からの武蔵国分寺遺跡の緑を眺望できることをいかし、2階の中心に家の核となる長さ3.5mのキッチンを据えることから始めました。 コルビュジエは「台所は神殿とはいわないまでも、家の中で最も重要な場所の一つだ」と言っている。 私たち夫婦にとってはキッチンは暮らしのアトリエであり、食育の場であり、家全体を把握できるコックピットであり、常にどちらかが立っているまさに家の核である。 広い玄関土間は私の家具作業場であり、家族がモノづくりができるアトリエとしての場となり、階段を通じて家の核へと吹抜け的に繋がる。 各寝室は質素な広さに抑えることで家の核へと導くように計画している。 フィンランドの建築家ユニハ・パラッスマーが著書「建築と触覚」で「建築は実存的経験、つまり自身が世界の中に存在しているという感覚を強める」と話している。 この建築には新しい部分、古い部分、美しい部分、昔の家の痕跡などがごちゃ混ぜに内在する。現代の表層的美意識からの脱却をはかり、世の中の全てのものをより豊かに知覚するための実験の場であり、それにより自己存在を肯定できる空間として機能してくれることを願っている。

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物件所在地

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