USHINO KURA

ビルディングタイプ
レストラン
1
92
ベトナム Hà Nội

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    DESIGN&CREATIVE ASSOCIATES
  • 担当者
    川口淳志、清水謙治、Pham Hoang Thao Quyen、Tran Ngoc Trang
  • 施工
    DESIGN & CREATIVE ASSOCIATES
  • 撮影
    大木宏之

ベトナム ハノイ市にある「特撰黒毛和牛専門店 うしのくら」は、大使館として使用されていたヴィラを高級和牛レストランへと改修した計画である。 既存建物はその用途上、高い塀に囲まれ外部と隔たれており敷地外から中の様子をうかがい知ることは難しいが、いったん敷地内に入ればヴィラの周囲には広々とした屋外空間(主に駐車スペースとして利用)が広がっていることに驚かされる。建物が密集して所狭しと立ち並んでいる雑多でにぎやかな市内と比較すると、中心地においてこれだけゆったりとしたスペースが確保できている物件は珍しい。この広い屋外空間や高い塀を生かせば、ここを訪れた人だけが体験できる特別な空間を演出し、市内の喧騒から隔絶された空間を提供できるのではないかと考えた。 そこでまず駐車スペースとして利用されていた建物周辺部分をすべて庭に作り変えることとした。地面に高低差を作り水を流して水辺空間を設け、周囲は芝生を張って緑化し、敷地に入ってから玄関までのアプローチを新たなランドスケープで演出した。ヴィラの形はそのまま残して赤い屋根瓦をグレー色に葺き替え外壁は屋根より若干明るいグレーに塗り替え、建物の印象を刷新した。 1階はホール席とカップル席のカウンター、そして建物の裏をぐるりと回る専用ルートを通って入るVIPルーム、2階は全て個室とし一部可動間仕切りでつながる部屋を用意している。 全体は黒やグレーを基調として落ち着いた雰囲気とし、赤やゴールドの素材を時折織りまぜ室内がフラットになりすぎないよう配慮した。壁面に使用した黒色に染色した木は、場所ごとでサイズや組み方を変えて貼ることにより、印象が少しずつ異なるよう構成している。 また豆砂利洗い出しや、コンクリート研ぎ出しの床は職人の 経験と腕に頼るところが大きく完成するまで緊張を伴うのだが、ベトナムの職人とよく話をし試作を重ね、最終的にはあまり細かいことを要求せず彼らの慣れたやり方に委ねた。仕上がりは程よく手ぐせが残りラフな部分が味わいとなり、それが返って店内全体の雰囲気を和らげてくれているように感じる。 どの素材も思わず触れてみたくなるような肌触りの良い仕上げになったと感じている。

物件所在地

1