群馬県吾妻郡長野原町に位置する旧応桑小学校は、地域に愛されてきた歴史と記憶を継承し、新たな地域拠点「オークワテラス」として生まれ変わった。 本プロジェクトは、RC造2階建ての旧校舎の1階を中心に、診療所・薬局・売店・地域コミュニティ空間を設け、校庭にはこども公園を配置した廃校利活用プロジェクトである。 長野原町の人々にとって欠かせないへき地診療所を中心に、地域のあらゆる世代が安心して集い、交流ができる、心の拠り所となる場の創出を目指した。 単なる医療提供にとどまらず、生活利便性や子育て支援、多世代交流といった地域課題に応える、新たな地域拠点としての役割を担う。 施設計画では、ひとつの玄関から各用途へアクセスできる動線を意図的に交錯させ、エントランスホールに隣接する開放的な待合室や、親世代が子どもを見守りながら過ごせる地域コミュニティなど、自然な出会いや交流が生まれるような空間構成とし、単に機能的な構成にとどまらず、人と人との関係性が緩やかに立ち上がる「間」を大切にしている点も、本計画の大きな特徴である。 インテリアのテーマは「町の動物たちも訪れる診療所」親しみやすい動植物のアートや、地域の自然をモチーフにしたオリジナル照明を随所にちりばめ、まるで動植物たちが施設に遊びに来ているような、想像力をかき立てる空間を創出した。世代を問わず誰もが親しみを感じられると同時に、多様な存在が集うコミュニティの広がりを象徴する空間となっている。 また、旧応桑小学校の記憶を継承するため、既存の内装素材の活用、長年使用されてきた家具のリデザイン、学び舎の要素を活かしたサイン計画などを通じて、地域の歴史への敬意と現代の機能性を融合した。建築が持つ記憶を風景としてつなぎ直すことで、世代を超えて愛される場の形成を目指した。 校庭には大きな輪のデッキのあるこども公園を設置。起伏のあるデッキは登ったり、走ったり、寝そべったりとこどもたちが思い思いに遊ぶことができる場所となっている。輪の形は地域の特産品のはなまめをイメージしたものである。イベント時には輪のデッキが客席やステージになり、屋根付きベンチでは休憩したり、おしゃべりしたり、様々な使い方ができる大らかな空間となった。 「オークワテラス」は、子どもが遊び、大人が語らい、高齢者も安心して過ごせる。医療と交流が共存し、地域の未来を明るく“テラス”ような、持続可能な場として機能することを目指した建築である。
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