


補足資料







知り合いである画家のアトリエと、その家族のための家。 敷地は背後の浅間山から市街地へと連なる、なだらかな傾斜地の中腹に位置する。 敷地境界線の見えない広大な自然を前に、シンプルな「斜め」という言葉を頼りに、この建築は立っている。 斜面には斜めの基礎を広げ、屋根もまた敷地勾配に沿うように傾けた。 地形のリズムから生まれた段々状の室内は、中央のアトリエを中心に周囲の部屋へと様々な関係性を生み出している。 段々床と屋根の流れによって視線が自然と、たんぽぽ畑からアルプスに沈む夕陽へと移ろわせてくれる。 この家のすべての構成は単純であり、どこの住宅でも見られる。 特別なものは何もない。 しかし、そんな普遍が「斜め」という敷地の本質を静かに受け止めることで、家族の生活がその環境に立つことができる。 街へ降りて日中を過ごし、日暮れ前に山を登って帰ってくる。 そんな振り子のような往復の延長に、この家も息づいている。 ダイニングへ降り、夕陽を眺めながら食卓を囲む。 登ってまた降りて、風呂に入る。 いちばん下の洞窟に潜り込むように、寝室で眠りにつく。 そしてまた、次の朝がくる。 こうして暮らしは地形のリズムと共に生き、建築は地球と、そして家族と、互いを尊重する関係性を結びながら、輪郭を静かに定着させていく。

