DATA

CREDIT

  • 撮影
    株式会社ウェイ
  • 設計
    アドヴァンスアーキテクツ株式会社
  • 担当者
    西村 達矢
  • 施工
    アドヴァンスアーキテクツ株式会社
  • 構造設計
    株式会社ジョインウッド

敷地は起伏に富んだ住宅地の一角に位置し、前面道路より約3m高い位置に宅盤が形成されている。この高低差を敷地固有のポテンシャルとして積極的に読み替え、地下1階・地上2階建ての構成とすることで、地形的条件を空間構成に反映させる計画とした。各階にはそれぞれ異なる性格と機能を与え、立体的な重なりの中で多様な居場所が展開する住空間を志向している。 地下1階にはエントランスホールに加え、防音性・遮光性に優れる環境特性を生かし、ゴルフシミュレーターを備えた趣味室を設けた。施主の嗜好を踏まえ、英国貴族の邸宅を参照した意匠とすることで、日常性から切り離された艶やかな応接空間として位置づけている。 1階は敷地の採光条件と形状を踏まえ、東西方向に長く伸びるテラスを設け、LDKの各所から屋外空間が近接して感じられる構成とした。これにより、内部にいながら外部の気配を取り込み、開放的で伸びやかな居住環境を実現している。一方で、天井高さを抑えた領域やヌックを設けることで、包まれるような落ち着きのある居場所を挿入し、空間のスケールに緩急を与えている。 2階は遠方への眺望に恵まれた階であることから、各個室に大開口とバルコニーを設け、景色と緩やかに接続された私的な居場所とした。外部環境と視覚的に結ばれながら、それぞれが思い思いの時間を過ごすことのできる階として構成している。 これら性格の異なる三層をひとつながりの体験として束ねるのが、三層吹き抜けの階段空間である。アプローチから2階へと、くるくると向きを変えながら上り下りする動線の中で、視線の抜けや光の入り方、空間のスケールが連続的に変化し、場面が展開していく。この回遊的で立体的な移動体験は、敷地のもつ地形的特性と強く呼応し、建築全体を特徴づける空間的骨格となっている。 同時にこの階段空間は、地形そのものを空間資源として活用している点においてもサスティナブルな側面を有している。三層吹き抜けは、動線としての役割にとどまらず、自然光や風を建物全体へと導く環境装置として機能し、上下階の温熱環境の緩和や自然換気を促している。さらに、地下・1階・2階それぞれの用途配置は、遮音性・採光性・眺望といった環境条件に即しており、空調負荷を抑えた合理的なゾーニングとなっている。各階の空間は用途を固定化しすぎず、将来的な使われ方の変化を許容する余白を内包しており、長期的な居住と建物の持続的利用を前提とした構成といえる。

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