ながれる

ビルディングタイプ
複合施設

DATA

CREDIT

  • 撮影
    amana / INFOTO / 松井 進
  • 設計
    Architects Atelier Ryo Abe
  • 担当者
    安部 良 / 夘木 佑佳 / 伊藤 慶虹
  • 施工
    株式会社K&K建築工芸
  • 敷⽡⼯事
    高橋製瓦株式会社 / 晴れやか美術計画株式会社
  • 植栽⼯事

“「ながれる」は、虐待や貧困など、さまざまな困難に直面する人々をサポートしてきた「社会福祉法人子供の家ゆずりは」が、これまでの福祉の枠組みにとらわれない場所を作りたいという想いから新たに生まれた、実験的な集いの場。” (ながれる ウェブサイトより抜粋:https://nagareru.acyuzuriha.com) ---------- − プロジェクトのはじまり − 困難を抱える人も、そうでない人も。誰もが街の一部として行き交い、立ち止まれる場所。そんな依頼者のイメージからプロジェクトがはじまりました。 最初に共有されたキーワードは“あんしん”でした。「安全」のために匿われる場所ではなく、「安心」できる場所が必要でした。 打ち合わせを重ねる中で、「ケアする人/される人」という直線的な関係性や、支援者の自己犠牲のうえに成り立つ問題解決、閉鎖的な環境下での支援者と相談者の関係性の歪みなど、長年、相談事業の現場で奮闘してきたからこその課題が、運営チーム「ゆずりは」のメンバーから共有されました。 空間設計のプロセスの中でも対話が重ねられ、「ながれる」という名称と空間のコンセプトが紡ぎ出されました。 ---------- − 空間による心と身体の「変化」、5つの空間構成 − ・ゆるめる|街とつながるエントランスフロア キッチンを備え、決まった用途に縛られない、日常の延長として立ち寄れる居場所です。 ・めぐらす|思考や気持ちが自然にめぐる場所 木の温もりのあるデスクとベンチ。定期的に変わる本棚を備えたラウンジです。 ・ほどく|言葉より先に、身体がほどけていく体験 シャンプーベッドを併設したリラクゼーションスペースです。 ・めざめる|外とつながりながら静かに回復できる環境 専門スタッフによる事前ヒアリングで宿泊を必要とする人のための無料宿泊スペースです。 ・そよぐ|空を感じられる屋上ガーデン 息抜きやお茶の時間を過ごせる場所で、育てたハーブや花は施設内でも活用されます。 「ながれる」では、用途で空間を分断するのではなく、心と身体の状態が少しずつ変化していくように、そして安心して「街へとながれる」ように、5つの空間の繋がりを構成しています。 ---------- − PLACE MAKINGによる福祉の場づくり − 私たちは建築家として、既存の制度や枠組みを超えた福祉の場づくりに、「PLACE MAKING」(人と場所の関係性を育てる手法)の考え方で取り組んでいます。 コンセプトづくりや物件探しといったプロジェクトの初期段階から関わり、対話を通して空間設計のプロセスを共有し、工事監理までを一貫して担当。工事完了後も運営チームと並走しながら、使われ方や、人々の関係性の変化に応じた調整やサポートを続け、時間とともに安心感が育っていくデザインを目指しています。 ---------- − 周囲の街、既存建物との向き合い方 − 古い門前街に建つ、長年にわたり改修が繰り返されてきた店舗ビル。 蓄積された建物の疲労に対し、ガス・水道・電気などインフラ配管の更新と、防水・構造的な補強を行い、建物のコンディションを健全な状態に整えました。 一方で、入り口の庇など、街に残る記憶は継承し、建築全体に多様な植物を配置。近隣に溶け込みながら新しい息づかいを吹き込むようにデザイン的な工夫を重ねています。 ---------- − 素材・光・家具の考え方 − 内部仕上げは、白壁、敷瓦、ラワン合板、ガルバリウム鋼板等、更新しやすく経年変化により表情が育っていく素材を基調としています。 照明には、ライン照明や、Peter Ivyデザインの照明器具などをポイントに置きつつ、ベースとなる部分には主張しすぎないオリジナルスポットライトを採用しています。 テーブル、カウンター、ベンチ、棚など、「使う」ための面はウッドボード(WOODRIUM)で統一し、使用者にとって直感的で分かりやすい仕様としています。 ---------- − 境界をつくらない空間 − 各空間の仕切りには、オリジナルの木製引き戸を使用しています。 部屋と部屋、内と外、施設と街のあいだに明確な境界をつくらず、人の気配や街の空気がゆっくりと「ながれる」空間構成としています。 ---------- − ながれるという場所 − 「ながれる」は、完成された施設ではありません。建築と人とが関わり合いながら、その時々の状況に応じて、少しずつ姿を変えていく場所です。 街のなかで、人が安心し、ほどけ、それぞれの人生へとまた流れていく。 街全体が居場所になるように。

物件所在地

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