




DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- リノベーション
- 延べ床面積
- 68.1㎡
- 竣工
- 2025-03
CREDIT
- 撮影
- toha / 酒井禅道 / 藤田由紀
- 設計
- 湖雲山/酒井禅道 / 藤田由紀
- 担当者
- 酒井禅道 / 藤田由紀
- 施工
- 参創ハウテック
-住と職- コロナ禍を経て、住まいと仕事場との関係は大きな転換点を迎えている。 かつては明確に分けられていた「住まい」と「仕事場」の領域が、同じ場所に溶け合うことによって新たな価値が見直されてきた。 この住戸では、仕事場を個室とするのではなく、廊下や抜けのある余白にワークスペースを設ける構成を選んだ。南北に細長いプランのなかで、生活動線と作業空間を重ね合わせ、仕事と暮らしを切り離すのではなく緩やかに連続させる。 単に「住まい」と「仕事場」を並置するのではなく、動線や空間の奥行きに生活と仕事のリズムを編み込むことによって、新たな住まい方とワークスタイルを成立させることを意図している。 -光と影- 元の住戸プランは、南側に明るい居間、北側に薄暗い寝室といったように、極端な明暗のコントラストが強く存在していた。すべての部屋を均一に明るくすることが、必ずしも居心地の良さにつながるわけではない。むしろ、光と影が互いに作用し合うことで、空間に緩急が生まれる。 ここでは、もとの部屋が持っていた「暗さ」をひとつの質として受け止めている。自然光を様々なテクスチャを持った白い壁や天井によってやわらかく拡散させることで、暗さを心地よく受け止められる。 静けさや落ち着きを感じられる暗がりがあることで、暮らしにゆらぎと繊細さが立ち上がることを目指している。 -内と外- 集合住宅では、玄関扉を境に内(専有部)と外(共用部)をきっぱりと分断する計画が一般的である。住人もまた、共用部に住まいの片鱗が染み出ないように気をつけて暮らしている。しかし、特にメガマンションのように近隣との関係が希薄化しやすい環境では、その閉じた構成が無機質さや孤立感を生むこともある。 そこで、共用部側には談話室やワークスペースなど開かれた性格を持つ部屋を配置した。共用廊下に面した窓辺を積極的に活用し、住戸の内側を外に対して柔らかく開いていくことを試みている。それは単なるプライバシーの確保や遮断ではなく、内と外を親密に繋げ直す行為であり、集合住宅におけるひとつの「開き方」の提案である。 --- 住と職、光と影、内と外。これまで対立的に分けられてきた領域を、緩やかに重ね合わせる。 その重なりを丁寧に調整することで、住まいの場は日常にゆらぎと繊細さを宿す場へと変わっていく。
