




PROJECT MEMBER
【変化ではなく、成長としての増築】 「医療はアメニティーによって高められる」という理念のもと設立され、25年にわたり地域医療とともに歩み、成長を続けてきた岡村記念クリニック。本計画は、診療科目の増設および既存機能のさらなる充実を目的とした増床計画である。 既存診療の拡張と新設という機能的な更新でありながら、患者・医師・スタッフにとって、この増築が「変化」や「違和感」として受け取られるのではなく、これまでの歩みの延長線上にある自然な成長として感じられることを重視した。 建築計画においては、既存建物との連続性を重視し、スケール感や動線、素材感に配慮することで、無理なく一体化した空間構成を目指している。新旧の境界を意識させない計画とすることで、これまで親しまれてきたクリニックの佇まいを継承しつつ、新たな機能を受け入れる建築としている。 また、この場所を訪れる患者が少しでも安心し、前向きな気持ちになれるよう、医療機能の充実に加え、質の高い空間づくりにも配慮した。 この増築が、より良い医療環境の提供とともに、地域に根ざしたクリニックのさらなる発展につながることを願う。 【改築計画~「感染を防ぐ建築」から「心に寄り添う医療空間」へ】 2021年のコロナ禍において発熱外来棟として建設された診察エリアを、美容外科・形成外科へと改修する計画である。 未知のウイルスによる院内感染を防ぐため、本館と切り離した独立動線が徹底的に計画された本建物は、地域医療を止めることなくコロナ禍を乗り越えるための重要な役割を担ってきた。本改修では、そうした建築的価値と当時の記憶を継承しながら、新たな医療機能として再生することを目指している。 感染対策を最優先として構成されていた受付空間は、クリアパネル等により心理的な距離を生んでいた。改修後はそれらを整理・更新し、明るく開放的で、患者を温かく迎え入れる「おもてなしの空間」へと再構築している。 一方、患者と医師・スタッフが交錯しないよう計画された動線は、美容外科・形成外科においても高い価値を持つ。これらを可能な限り再活用することで、プライバシーに配慮した、落ち着きと安心感のある医療空間を実現した。 「感染を防ぐ建築」から「心に寄り添う医療空間」へ。 時代の要請に応じて役割を変えながら、建物の記憶と機能を未来へとつなぐ改修計画である。

