里山だった場所と融合する家

ビルディングタイプ
別荘
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補足資料

配置図及び平面図 自然木の採取位置とそれぞれの3Dスキャン
図面
断面詳細図
図面

PROJECT MEMBER

DATA

  • ビルディングタイプ
    別荘
  • 構造
    木造
  • 工事種別
    新築
  • 延べ床面積
    126.9㎡
  • 竣工
    2025-07

CREDIT

  • 撮影
    MAP / 海山 基明
  • 設計
    MAP
  • 担当者
    森屋 隆洋
  • 施工
    忠創建設+MAP
  • 構造設計
    蒲池 健(KMC)
  • デジタルファブリケーション
    金子 太一
  • プロデューサー
    熊崎 隆人

本計画は、小高い山々に囲まれた田園地帯に建つ、二地域居住のための住宅である。 初めて敷地を訪れた際、背後に広がる森が十分に手入れされず、暗く閉じた状態にあることが強く印象に残った。かつて里山として機能していたこの場所では、樹木が間引きの時期を過ぎ、日光が地表まで届かず、下草も育たないヤブ化状態が続いていた。その結果、森は土砂災害のリスクを抱える状況にあった。住宅の設計に先立ち、近隣の山林所有者と対話を重ね、森の整備からプロジェクトは始動した。 整備によって伐採したクヌギやコナラといった広葉樹は、薪材として扱われることが多く、一般的な建築流通には乗らない素材である。本計画では、これらの自然木を現地で乾燥させ、3Dスキャンによって形状を点群データとして取得したうえで、MR(Mixed Reality)技術を用いながら、設計・加工・建方を現地で行った。こうして自然木は、柱および筋かいとして構造体へと転用されている。接合部にはボルトやビスによる追従性の高い構法を採用し、自然木が内包する不均質性や将来的な変位を許容する構成とした。自然の形態を保持したまま建築へと組み込むためには、デジタル技術の介在は不可欠であった。 屋根架構には、近隣の山で伐採した山武杉を用い、幅の異なる製材材を一方向に並べ、ビスによって積層する現場施工型の Screw-Laminated Timber(SLT) を採用した。部材の継手位置をずらしながら構成されたSLTは、プレファブ化された工業製品とは異なり、現場の寸法や柱配置に応答しながら組み上げられるマスティンバーである。この屋根構造体によって、自然木柱から伝達される力を受け止め、建築全体の構造が成立している。 自然木による構造体と居室部分は構造的に分節されており、その境界には四方にガラスの欄間を挿入した。十分なクリアランスを確保することで、乾燥収縮や変形に追従しつつ、内外の空間的なつながりを生み出している。室内に身を置くと、田園、里山、そして架構が一体として立ち現れ、建築は完成された形としてではなく、森へと意識を導いていく。 本計画は、地域の素材と現代の技術を用いて、里山と住まいの関係を繋ぎ直しながら、豊かな環境を未来へと継承していくための試みである。

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