五島つばき蒸溜所 第一期工事・第二期工事

ビルディングタイプ
工場・倉庫
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日本 長崎県

補足資料

蒸溜所のネットワーク図
コンセプトイメージ

DATA

CREDIT

  • 撮影
    大竹央祐 / 鈴木信之介 / WANKARASHIN
  • 設計
    WANKARASHIN
  • 担当者
    石飛亮
  • 施工
    小田大工
  • 構造設計
    IN-STRUCT

五島列島福江島の小さな集落に、この地域のボタニカルを使用したクラフトジンの蒸溜所をつくるプロジェクト。 第一期工事では生産の拠点である蒸溜所の母屋をつくり、第二期工事では倉庫を増築した上で蒸溜スペースを拡張した。 敷地は島の中でも奥地にある半泊という集落であり、かつては潜伏キリシタンが生活していた場所であったが、現在は5世帯のみが静かに暮らしている。 その名残としてこの地には、祈りの場であるカトリック半泊教会が建っており、そこに隣接するように蒸溜所をつくる。 当初は大勢いた信徒も今ではたった1人になってしまい、教会の存続も難しい状況になってしまっている。 ジンは元々、イタリアの修道院で薬用として生み出されたという歴史がある。また隣接する教会を維持管理する教会守として寄り添うように生産を行っていくことを目指し、教会を聖堂として、蒸溜室を生産の中庭と見立てて、その周囲を回廊で囲んだ修道院のような建築とした。 敷地には車が1台やっと通れるような狭く険しい山道でしか辿り着けないため、大型車での材料の搬入は非常に厳しい条件であった。 一方で、蒸溜スペースには巨大な蒸留器やたくさんのタンクを収容する必要があり、柱のない気積の大きな空間が求められた。 そこで、現場に搬入可能な小径材を挟み梁のようにしてアーチ状に現場で組み立てることで、プレカット工場のない島内において、できるだけ地元建材を用いながらも天井高の高い無柱空間をつくることを実現した。 また潮風に耐えるための焼杉の外壁や、地域の石を用いた教会の塀と連続する石積み壁、島内の職人によって製作されたステンドグラス、蒸留器の輸送梱包材を転用したボトルショーケースなど、可能な限り島内で自活できるような素材を使用しつつ、この地域の風土や歴史に接続した物語を包含するようなつくり方を心がけた。 空間を構成する要素ひとつひとつが様々なネットワークに参画するようなプロセスを経ることで、建物を訪れる人々がその背景にあるストーリーに想いを馳せられるような、連関的な広がりのある建築をつくれないかと考えた。単なる蒸溜酒の生産場所を越えた、島の歴史や文化を伝える拠点としても機能していくことを目指している。

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物件所在地

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