知内温泉 呼吸の間

ビルディングタイプ
公衆浴場・銭湯
35
1,263
日本 北海道

補足資料

配置図及び平面図
図面
短手断面図
図面
長手断面図
図面
構造システム
ダイアグラム

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 撮影
    KEN五島 / MAP / 小杉圭司
  • 設計
    MAP
  • 担当者
    森屋 隆洋
  • 施工
    平野建業
  • 構造設計
    長谷川理男(oha)
  • プロデューサー
    矢田項一
  • サウナ監修
    草彅洋平(CULTURE SAUNA TEAM "AMAMI")

自然湧出の源泉熱を生かしたサウナと温泉の融合 北海道最古の湯治場として知られる知内温泉に新たに誕生した「呼吸の間」は、自然湧出する源泉熱を活用し、温泉とサウナが主従なく融合した、世界的にも類例のない温浴施設である。800年の歴史を持つこの温泉地では、自然噴出する5種の源泉やその特異な立地の価値を次世代へ継承することが課題となっていた。地域資源を最大限に生かした持続可能な温浴空間として、この施設の計画がスタートした。 「呼吸の間」の最大の特徴は、自然湧出する源泉の熱エネルギーを建築空間内で段階的に循環利用する温熱システムである。サウナ室には源泉が直接掛け流しされ、自然な蒸気による適度な湿度が保たれることで、一般的なサウナ特有の息苦しさがなく心地よい空間を実現し、特に女性利用者からの評価も高い。サウナで生まれた熱と蒸気は掛け湯・立ち湯・寝湯へと順次流れ、最終的には外部通路の融雪にも活用される。また、水風呂には施設近くの沢水を掛け流しで使用するなど、地域資源の効果的な活用を徹底している。サウナの熱源には空気循環機能付きの電気ストーブを採用したが、施設全体としては機械設備に極力頼らず、自然エネルギーの最大限の活用により快適な環境を創出している。 構造には地元産の道南杉の丸太を用いた複曲面の合掌架構を採用した。長さや角度の異なる丸太梁を密に配置し、曲面に沿って板材を張り巡らせて一体化することで、北海道特有の豪雪や強風に耐える高い構造性能を獲得している。直径約300mmの丸太を現しで使用した空間は、軽やかで変化に富んだ印象を与え、サウナ特有の「ととのう」感覚に調和する柔らかな揺らぎをもたらしている。丸太材には林業機械による伐採痕を意図的に残し、さらに表面炭化処理を施すことで、素材の粗さをそのまま意匠として昇華させた。この仕上げは耐候性を高めるとともに、機械化が進む現代の森林・建設環境への応答的な態度を示している。 浴室の開口部にはガラスではなく網戸を採用し、風通しを確保しながら虫や雪の侵入を防止。棟の中央を外側に持ち上げることで、湯気の滞留を抑えている。屋根には急勾配の杉板縦張りを採用し、積雪対策と断熱性能にも配慮した。内装は無塗装の炭化処理を基本とし、湿潤環境への耐久性を高めると同時に、木材が時間とともに風景へと馴染んでいく過程を利用者が直接体感できるよう設計されている。 温泉とサウナという二つの文化を融合させ、地域資源の持つ潜在力を最大限に引き出した「呼吸の間」は、「自然との対話装置」として温浴建築の新たな可能性を提示している。

物件所在地

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